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発達障害児 手帳の壁 福祉助成受けにくく

(2010年4月4日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

親の会 『適切な区分 新設を』

画像療育手帳よりも、発達障害のための手帳を求める母親=滋賀県米原市で

 発達障害児に対する理解を深め、行政の支援を充実してもらおうと、親の会が「発達障害者手帳」制定を求めて署名活動を始めた。発達障害にぴったり当てはまる障害者手帳がないために福祉サービスを十分に受けられない実態があるといい、賛同の輪が広がっている。

 昨年十一月に滋賀県米原市の親の会「でこぼこフレンズ」が親の会のネットワークを使って署名集めを始めたところ、これまでに兵庫、香川、埼玉県から千二百人の署名が集まった。自治体の福祉サービスは、障害者手帳がないと受けにくい現状があるため各地で共感を得ており、目標の二十万人に達したら国会に陳情するという。

 現在、発達障害者が取得できる手帳としては「療育手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」がある。しかし、一部自治体を除いて療育手帳は知的障害があることが条件。発達障害は必ずしも知的障害を伴わず、条件を定める自治体では一定の知能指数以上だと手帳を得られない。精神障害者保健福祉手帳には、「精神障害とは別の障害だ」と考える親が多く、いずれの手帳も行き渡っていない。

 発達障害がある小学校低学年の娘の母親(40)=名古屋市=も、呼び掛けに応えた一人。娘は知的障害がないため市の愛護手帳(療育手帳に相当)を取得できないが、体を動かすことが不器用。入学前に、障害児が通所で訓練を受ける「児童デイサービス」を利用しようとして、手帳のない不利益を知った。

 手帳がないと、このサービスの公費助成を受けるのが難しく、一日四千六百〜八千八百円を全額負担しなければならない。母親は「高すぎて利用できない。手帳のあるなしで差が大きすぎる」と訴える。名古屋市の場合、公費助成があれば自己負担一割ですむという。

 でこぼこフレンズ代表の吉川友子さん(39)は「発達障害の手帳があれば、障害そのものへの正しい理解も広まるはずだ」と話した。

 サービス内容を左右  国『個別支援に転換』

 障害者手帳は現在、身体、知的、精神の三つの障害区分に応じて交付される。障害者が公的な福祉支援を受けようとする場合、手帳に記された障害の種別や程度に応じて、支援の中身が決まっていくのが一般的。このため公的な認定である手帳がないと、支援やサービスを「スムーズに受けられない」(福祉関係者)という。

 一方で、国は二〇〇五年に発達障害者支援法を施行。都道府県や政令指定都市に発達障害者支援センターを置き「手帳を要件にした支援から個々に対応する相談支援への転換」を進めている。

 しかし福祉関係者からは「手帳がない発達障害児が公費による助成を受けられる例は少ない」との指摘もあり、国の指針が市町村へ十分に行き渡っていないのが現状だ。

 発達障害 脳の機能が原因で生じ、成長する中で社会適応などにさまざまな問題を抱えやすい。知的障害を伴う自閉症や、知的障害を伴わないアスペルガー症候群をはじめ、学習障害、注意欠陥多動性障害など多くの種類がある。

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