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痔の治療に“師匠”の教え 家田病院 家田浩男さん

医人伝

(2010年4月13日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

痛みも心も和らげる 肛門科医 家田浩男さん(69)

画像「患者さんに喜んでもらうのが生きがい」と話す家田浩男(いえだ・ひろお)理事長=愛知県豊田市の家田病院で

 「家田Drグッズ」と書かれた買い物かごに、患者に症状を説明する“八つ道具”が入っている。二十年以上前に恩師が書いた専門書、パウチ加工された新聞記事−。肛門(こうもん)治療について「痛くない」「早く治す」「再発しない」の三つの方針を伝えるため、「道具」を活用し優しい口調で丁寧に語りかける。

 名古屋大医学部を卒業後、赴任した総合病院で、痔(じ)の治療の痛みに暴れる男性に直面した。「痛みをなんとかできないか」と悩み、肛門に関する専門書を読みあさった。

 一人の医師の文献に、衝撃を受けた。東京社会保険中央病院の隅越幸男医師。今でも著書「痔の教室」をかごに入れ、説明の参考にしている。当時、治癒するまで風呂に入れてはいけないと教わっていた。しかし、隅越医師は「入浴は早期に」と書いていた。

 「直接会って、教えを請いたい」との思いから、上司に週一回東京に通うことを許してもらった。朝五時に起き、始発の新幹線で通った。患者に痛みを与えないよう肛門を宝物のように扱う姿に心打たれた。

 当時、痔瘻(じろう)は治療困難な病気だった。原因がはっきりせず、何度手術しても治らず、長く入院させてしまった患者もいた。治せない苦悩に道しるべを示してくれたのが隅越医師だったという。

 教えをもとに三十年前、愛知県豊田市南部の田園地帯に十三床の家田外科を構えた。「治療のためには、病気を知ることが第一」との気持ちを持ち続け、学会へも積極的に参加。最新技術や新しい発想を取り入れ、百を超える病床数の病院に発展した。

 患者の病状や生活ぶりを聴くのに、看護師が三十分以上かけることもある。問診票を基に、さらに患者の声に耳を傾ける。忙しくてストレスがたまっているサラリーマンは、肛門に症状が現れる場合もあり、食生活など日常のアドバイスにつなげている。

 安らげる入院環境にもこだわる。患者が和気あいあいと食事できる大食堂や、時間を気にせず入れる大浴場も。手術中には、患者お気に入りの曲も流す。すべては、患者の痛みを和らげるためだ。

 医療が進むにつれて、確実に治すだけでなく「早く治って痛くない治療」へと患者の求める水準も高まる。痔瘻の場合はできるだけ括約筋を切らずに治すなど、最先端の技術にも取り組んでいる。(杉山直之)
 家田病院(愛知県豊田市)

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