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チーム体制で24時間対応 三つ葉在宅クリニック山中 中村俊介さん

医人伝

(2010年11月30日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

家庭を丸ごと診る 院長 中村俊介さん(33)

画像笑顔で患者に話し掛ける中村俊介(なかむら・しゅんすけ)さん(左)。できるだけ明るい雰囲気での診察を心がける=名古屋市名東区で

 「こんにちは〜」。訪問診療先の玄関を開けると、室内に向かって明るく声をかける。肺がんで余生を自宅で過ごしたいと希望する男性(77)と妻(75)が笑顔で迎えた。「胸が痛くなったんですって?」。血圧測定や聴診をし、男性の話にゆっくり耳を傾けた。

 「患者さんや家族は、たくさん悩みを抱えている。できるだけ笑顔で、話しやすい雰囲気をつくりたい」

 自分で車を運転し、1日に10軒ほど患者宅を回る。白衣は着ない。「僕たちは患者さんの日常生活の中にお邪魔する。非日常的な白衣はふさわしくない」という信念からだ。

 患者の部屋には家族の写真や絵などが飾られ、その人の人生をたどることができる。介護に加わる家族の人数や家の構造、ペットの近況まで把握でき、病院で診察するよりも患者に深く接することができると感じる。

 床ずれや皮膚のかゆみ、精神的な悩みにまで対応し、ときには家族の健康相談にも応じる。「患者を支える家族も大切。病気そのものより、家庭を丸ごと診るんです」

 学生時代に「特定の臓器だけではなく、人の全体を診る」という総合医に関心を持った。医師になり名古屋市の病院で研修したが、外来では患者が数十人も待ち、短時間しか診察できない。そんなときに院内の在宅医療チームを手伝い、じっくりと患者に寄り添う医療に喜びを感じた。

 同じ思いを持つ若手医師4人で、365日、24時間対応する三つ葉在宅クリニックを市内に開設したのは、28歳のとき。先輩医師らに「まだ早い」と止められたが、意志を貫いた。

 4人チームで始めたのは、医師の疲弊を防ぐため。夜間や休日の担当を交代で回すため休みが取れる。今は参加医師が非常勤も含めて16人に増え、全国から視察が相次ぐ。

 受け持つ患者には、病院で「もう治療方法がない」と判断され、入院できなくなった人も多い。痛みを薬で取り除いたり、家族の心配を解消しながら、最期まで寄り添う。「病気を治してはいない。でも、残された人生をいい状態で過ごせるよう、患者を手助けすることにも意味がある」

 年間に100人ほどの患者をみとる。亡くなった後に家族に会いに行き、故人の思い出話をして悲嘆を癒やすことも。ソーシャルワーカーらと連携して、遺族同士が語り合う会も定期的に開き始めた。

 「医師にできる部分は小さい。看護師やヘルパーらの力を借り、病院に行けない患者に、最期に満足してもらえるような安心を提供したい」(島崎諭生)
 三つ葉在宅クリニック山中(名古屋市昭和区)

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