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iPSでサル脊髄治療 慶応大が世界初

(2010年12月8日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

歩行機能回復 臨床応用近づく

iPS細胞によるサルの脊髄損傷治療

 人間の皮膚細胞から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した治療により、脊髄損傷で首から下がまひしたサルが歩けるようになるなど運動機能を回復させることに成功したと、岡野栄之慶応大教授が7日、神戸市で開催中の日本分子生物学会で発表した。世界初という。

 岡野教授らは同様の方法で脊髄損傷のマウスの治療に成功していたが、人間に近い霊長類のサルでの成功でiPS細胞による治療の臨床応用に一歩近づいた。岡野教授は「今後はより安全で高品質なiPS細胞を使って実験し、臨床応用につなげたい」と話している。

 岡野教授らはサルの一種、マーモセットで実験。人間の皮膚細胞に4種類の遺伝子を導入してiPS細胞を作製し、これを神経前駆細胞に分化させた。遺伝子の“運び屋”にはウイルスを使った。

 マーモセットに人為的に脊髄損傷を起こして首から下をまひさせ、9日目に、この神経前駆細胞を移植。約6週間で歩き回れるようになり、後ろ脚で立ったり手の握力が回復したりするなど運動機能が著しく改善した。約3カ月間、経過を観察したが、がん化はみられなかった。今回は、拒絶反応を抑えるため免疫抑制剤を使った。

 脊髄損傷は、交通事故やスポーツなどで背骨の中の神経が傷ついて歩行などの運動機能がまひするが、根本的な治療法は開発されていない。

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