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動脈瘤の血管内治療で実績 名大付属病院 古森公浩さん

医人伝

(2011年4月26日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

難例克服に充実感 血管外科教授 古森公浩さん(54)

画像患者にステントグラフト治療の説明をする古森公浩(こもり・きみひろ)教授=名古屋市昭和区の名古屋大付属病院で

 モニター画面の中、カテーテルが腹部大動脈へ進んでいく。

 バネ付きの人工血管「ステントグラフト」をカテーテルの中に折り畳んで患部に送り込み、瘤が破裂しないようにする治療だ。

 「腎動脈までの距離が短かったり、血管の角度が強い場合でも、いろいろ工夫して治療します」。執刀する部下を指導しながら、古森公浩さんは、見学の医学生たちに説明した。

 名古屋大血管外科では、胸部・腹部の動脈瘤の血管内治療を、3年半で約280例手掛けている。中部地方では飛び抜けたトップ走者だ。

 以前はバイパスを造るための手術が必要で、患者の体の負担は大きく、体力の衰えた高齢者には難しい場合も多かった。ステントグラフトの登場により、血管にカテーテルを挿入するための穴を下腹部に小さく開けるだけで、血管内治療を行えるようになった。

 「手術できない患者さんは、瘤がいつ破裂するか分からない不安を抱えながら生活するしかない。難しい症例に挑戦してうまくいったときのうれしさは、やっぱり外科医の醍醐味(だいごみ)を感じます」

 福岡県出身。九州大医学部に進んだ。病院研修の時、先輩医師の血管をつなぐ鮮やかな手さばきに感動して、血管外科の道に。米国留学を経て、九州大から名古屋大に移って10年目に入った。

 理事、評議員を務める学会は、国内だけで8つ。毎朝7時前に出勤して仕事を開始。病棟回診、外来、医局のカンファレンス、学生教育など多忙な中、自らも毎週、執刀する。

 内視鏡技術の進歩とともに、血管内治療を手掛ける内科医も増えてきたが「血管外科医だからこそ、症例に応じてさまざまな選択肢を持てる」と本家の誇りをのぞかせる。

 血管外科が扱うのは、全身の血管の治療。高齢社会の中、足の血流が滞り、悪化すると壊死(えし)につながる閉塞(へいそく)性動脈硬化症も増えてきた。

 名古屋大では、患者の足先までのバイパス術や血管内治療を積極的に行っている。また、骨髄細胞を自家移植して血管を新生し、血流を促進する臨床研究にも取り組んでいる。

 医局の若手には「手術の腕を磨くだけじゃなく、若いうちにいい研究をするのが大事」と日ごろから言い聞かせる。

 患者のためになる研究に心血を注ぐことが、心ある医師に成長していくステップと信じている。 (編集委員・安藤明夫)
 名大付属病院(名古屋市昭和区)

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