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岐阜の病院〈54〉 岐北厚生病院 山県市

(2011年6月5日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

乳がん患者に寄り添う

画像カウンセリング室で、退院間近の患者(手前左)と話す小池恵理子看護師(中央右)=山県市高富の岐北厚生病院で

 左胸を手術し退院間近の女性と、看護師小池恵理子さん(43)が向かい合って座る。

 乳がん治療専門の「乳腺センター」のカウンセリング室。「手術した左側の腕は上がりにくい。調理は大丈夫ですか」「野菜はまず電子レンジを使い、柔らかくしてから切ると良いですよ」

 アロマの香りが漂う中、しっかりとした口調で語りかけていく。

 小池さんは日本看護協会が認定した県内初の乳がん専門看護師。告知時から患者に寄り添い、同じ女性として生活のさまざまな場面を考えながら助言する。細やかな配慮から信頼関係を築き、医師との橋渡し役にもなる。

 山本悟院長は「患者から聞いた悩みを医師が共有することで、治療に反映できる」と信頼を寄せる。

 岐阜北部の地域医療を担いながら、30年以上前から乳がん治療に力を入れてきた。専門医だった先々代の院長が始めた近隣市の病院への出張検診は、今も受け継がれる。

 患者への配慮は施設面にも表れる。検診に訪れた女性が別の外来患者と同じ待合室にいると気を使い、ストレスを感じることもある。このため、今年3月、待合室を挟んで一般外来の診察室と反対側に独立したセンターを開設した。

 乳がんの発症率は20人に1人とされ、女性のがんの中で1番多い。完治には10年という長い月日を要する。何より乳房は女性の大事なシンボル。薬物療法や放射線治療で済む場合もあるが、切除となれば、精神面の負担は大きい。

 腫瘍の摘出手術の場合、乳房をなるべく温存する方法を選んだり、人工物や自身の腹部の組織を移植して欠けた部分を補ったりする。

 センターでは患者に心の余裕があるうちに、補整下着や抗がん剤による副作用の脱毛に備えたウィッグ(かつら)を紹介し、試着室に案内する。

 カウンセリング室では、入り口から患者の姿が見えないように座る位置を計算するなど、細かく気を配る。

 「下着のサイズが合わない」「手術痕が気になって…」。小池さんが持ち歩く電話機は、受け付けの代表番号に寄せられた相談がじかに転送されるホットラインだ。

 女性ホルモンが乳がんを増殖させるケースでは、分泌を抑える薬を飲み続けなければならない。妊娠に及ぼす影響への不安には、家族も呼んで人生設計を一緒に考える。

 「患者さんの生活を崩さないことが大切」と小池さん。必要に応じて金銭面などの公的支援も紹介している。

 患者は増加傾向にあるだけに「検診率を高め、早期の発見で亡くなる方を減らしたい」と山本院長。手術で残る傷跡の1つ1つにも、丁寧に向き合う姿勢を貫いてゆく。 (久保田麻里衣)

丁寧に相談応じる

 山本悟院長の話 乳がんの患者はさらに増えてくるだろう。乳腺センターは女性の意見を聞いて、気持ち良く健診を受けてもらえることを目指してオープンした。センターをはじめ、病院全体で患者さんの相談に丁寧に応じていきたい。

 岐北厚生病院 ▽創設 1951年▽病床 一般256床、療養60床▽内科、外科、整形外科、泌尿器科など22科。訪問看護ステーションを設置▽山県市高富1187の3▽岐阜バス「岐北病院前」下車▽電0581(22)1811

画像岐北厚生病院
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