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岐阜の病院〈55〉 岐阜大医学部付属病院 岐阜市

(2011年6月19日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

命救う最後のとりで

画像2月から運航が始まった県ドクターヘリ=岐阜市柳戸の岐阜大医学部付属病院で

 「交通事故で男性が車内に閉じ込められている」。消防から高次救命治療センターに一報が入る。救急の専門医師と看護師が9階屋上からヘリコプターで現場へ。

 男性をヘリに収容した後、配備された機器で医師が容体を確認する。センターと連絡を取って、症状に合った病院に搬送した。

 2月から運航が始まった県ドクターヘリ。病院屋上に待機し、飛騨地方でも3、40分で到着する。

 以前は県防災ヘリを代用し、出動要請が入ると、各務原市の県防災航空センターを飛び立ち、病院経由で現場に向かっていた。病院発となって約20分短縮された。

 センターの小倉真治教授は「ただちに治療できれば、命を落とさずに済むケースもあるし、後遺症の程度もひどくならずに済む。20分の差は大きい」と話す。

 5月末までの出動は65件。地域別内訳は中濃が30件、飛騨が16件、東濃が13件だ。

 センターは、救命に高度な技術が必要な3次救急患者を24時間体制で受け入れる。2004年6月の病院移転を機に新設された。

 常勤医は31人と「国内最大級の規模」。複数の損傷を負う多発外傷や熱傷、脳卒中や心筋梗塞の患者らを治療する。岩間亨院長は言う。

 「ここは県の救急医療の最後のとりで。県民の命を守る場として力を入れてきた。患者が大きく増えた場合、6床の集中治療室(ICU)の増設の検討が必要になるだろう」

 IT化による情報の一元管理にも努める。カルテや検査データは電子情報化され、医師や看護師らは手元のパソコンで必要なデータを参照できる。

 移転前は部署ごとでファイルを管理し、患者を検査した部署が医師に結果を届けていた。今では検査結果が判明次第、医師はデータを基に処置ができる。

 白鳥義宗医療情報部准教授は「かつては治療の間に空き時間ができ、患者を待たせていた。IT化で患者の待ち時間や入院日数が減った。医師はより多くの患者を手術できるようになっている」と利点を説明する。

 09年度の平均入院日数は13日。以前と比べ9日ほど短くなった。手術件数は5172件と1500件ほど増えている。

 がん治療では、厚生労働省から「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定されている。がん患者に多い脳血管障害、糖尿病などの専門医も共に治療に当たる。

 県内の医師不足を背景に、岐阜大の医学部生の定着に努める。県内で11年間の研修と勤務が義務づけられた地域枠入試が08年度生からスタート。卒業して研修医となる14年度に合わせて中核8病院と合同で研修プログラムを始める予定だ。

 「11年の途中で離脱しないよう他の病院と協力を深め、充実した支援をしたい」と岩間院長。救命の最後のとりでは県内医療の将来も担っている。  (佐久間博康)

医師の育成に注力

 岩間亨院長の話 県内唯一の総合的な大学病院として、質の高い医療の提供と将来岐阜で働く医師の育成が務めと考えている。この病院にかかれば安心と思ってもらえるよう、皆さんの信頼と期待に応えたい。

 岐阜大医学部付属病院 ▽開業 1875年▽内科、外科、産婦人科、整形外科、脳神経外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科、精神神経科、小児科、放射線科、麻酔科疼痛治療科、歯科口腔(こうくう)外科▽医師(教育系職員)272人▽606床▽休診日土日、祝日、年末年始▽岐阜市柳戸1の1▽電058(230)6000

画像岐阜大医学部付属病院

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