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豊かなスポーツドクター経験 きくいけ整形外科 喜久生明男さん

医人伝

(2011年10月4日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

選手の思い踏まえて 院長 喜久生明男さん(64)

画像模型を使って腰痛の説明をする喜久生明男(きくいけ・あきお)さん=岐阜県関市のきくいけ整形外科で

 2004年のアテネ五輪で、初出場した女子ホッケー日本代表のチームドクターを務めた。「私の原点は、その40年前にあるんですよ」と見つめたのは、医院ロビーに置かれたトーチ。愛媛県立松山東高校の3年生だった1964年、東京五輪の聖火ランナーに選ばれ、掲げて走った。

 幼いころからスポーツ好き。外科医だった父が野球をしていたこともあり、中学と大学で野球、高校ではラグビーに励んだ。岐阜大医学部を卒業後、迷わず運動と関係が深い整形外科の道に進んだ。

 女子ホッケーとの関わりは81年、県立岐阜病院(現県総合医療センター)に赴任してから。強豪の岐阜女子商業高校(現岐阜各務野高校)がすぐ近くにあり、選手を診るように。当時の監督の安田善治郎さんと信頼関係が生まれ、国体などに同行した。

 安田さんが全日本女子の監督になり、初の帯同ドクターとしてインドへ。それまでのインド遠征では下痢や発熱が続出。熱のない選手を試合に出すしかなく、勝負は二の次だった。同行した遠征で出場に影響が出た選手は1人。「基本は手洗いとうがい。胃腸を整えるためビフィズス菌製剤を持っていっただけ」と笑うが以後、海外遠征の同行が続いた。

 自身もスポーツで捻挫したり、腰を痛めたりしたため、選手の気持ちや痛みがよく分かる。回復期間や症状をできるだけはっきり伝える。「治癒力には個人差がある。捻挫の腫れがひく日数などで、復帰までの期間も推測できます」。日々の診療の積み重ねで得た診断力でもある。

 96年に開業した医院は、整形外科としては若い患者の割合が多い。最近、気になるのは、「野球肘」などで訪れる少年野球の子どもたちの多さ。「将来につながる人づくり、体づくりをするのがスポーツ。無理をさせたら、小学生でつぶれてしまう」と注意を呼び掛ける。

 スポーツ関係以外の腰痛や膝痛の研究にも熱意を傾ける。「腰痛の原因で見逃されているのは椎間関節。目線を下げて歩くと腰がそらず、楽になる」など説明は分かりやすい。「膝痛には、トイレで5秒のスクワットを5回」といった簡単にできる運動のアドバイスも。

 丁寧な診察と説明を心掛けるのは、自身の経験から。2歳で負った大やけどのため、5歳と11歳の時に手術を受けた。通院も多く、ぞんざいな医師に嫌な思いをした。「若い時の苦労は買ってでもせよと言いますが、どんな経験でも必ず得るものがありますね」(境田未緒)
 きくいけ整形外科(岐阜県関市)

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