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女性の健康の水先案内人 中部ろうさい病院 上條美樹子さん

医人伝

(2012年4月3日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

対話の中で変調探る 女性診療科・神経内科部長 上條美樹子さん(53)

画像女性患者の話に耳を傾け、診察する上條美樹子さん

 丸テーブルを挟んで患者と向き合う。「乳がん検診はまだいいけど、異動時期の前に、骨盤のMRI(磁気共鳴画像装置)を撮った方がいいですね」。患者は、女性総合外来にかかって6年という40代女性。和やかな雰囲気の中、血圧を測って持病の症状や仕事の近況に耳を傾け、今、必要な検査などをアドバイスする。

 中部ろうさい病院の女性総合外来は、東海地方初の「女性外来」として2002年に誕生した。上條さんは開設以来の担当医。現在は、もう1人の女性医師と月6日、年間約400人の患者を診る。

 何科に行けばいいか分からない、男性医師には話しづらい−という女性が行きやすい外来。患者の話をじっくり聴いて診察し、必要なら専門科を紹介する。精神的な問題もあれば、がんなどの重病が隠れていることも。「水先案内人、コンシェルジュですね」。健康相談の窓口として、定期的に通う人もいる。

 愛知県豊橋市の出身。外科医だった父親への反発もあって文学部に進学したが、すぐに「合わない」と感じた。再受験を考え始めたとき、浪人して医学部を目指していた親友に「一緒に愛知医科大に行かない?」と誘われ、共に合格した。

 専門は神経内科。患者の動作を見て、話を聴くだけで、半分は診断をつける。普通の人には見えない病変を見つけ、つなぎ合わせる「パズルを解くような」仕事に魅せられた。青森県立中央病院、弘前大病院などを経て、中部ろうさい病院に赴任した。

 神経内科で診る病は、脳卒中から認知症まで幅広い。救急対応に追われる一方、次第に筋肉が弱っていく筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症など、長く関わる難病患者もいる。介護する家族のケアの必要性を痛感している。

 介護を担う多くは女性。女性外来でも、介護ストレスで心身に変調を来す患者が増えている。「今後、介護は増えていくばかり。介護うつの問題は、医療者として見逃せない」

 女性外来には、仕事と家庭の両立や子育てに悩む患者も。自身、働く妻であり母親。「あなたは一人じゃない」のメッセージを伝え、患者の人生に寄り添う。「女性外来を担当して、神経内科医としても幅が広く、少し優しくなったかな」(境田未緒)
 中部ろうさい病院(名古屋市港区)

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