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「記憶のスイッチ」が会話促す 所蔵民具で認知症ケア 

(2012年4月8日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【富山】 この記事を印刷する

氷見市博物館 介護職員に「地域回想法」紹介

画像地元で親しまれてきた民具を利用した地域回想法の説明をする小境館長(左)=氷見市博物館で

 富山県氷見市博物館(本町)は、所蔵品の民具を使って認知症の高齢者に昔を思い出してもらい改善につなげる「地域回想法」の取り組みを広めようと、介護施設の職員らを対象に館内で研修会を開いた。(西山輝一)

 高齢者に人生を振り返ってもらい、周りとのコミュニケーションを促す「回想法」を1960年代に米国の精神科医が提唱。この考えに基づく地域回想法は、各地域に伝わる特有な生活用具や農具を手にすることで認知症の人に過去を思い出してもらう試みで、愛知県北名古屋市の歴史民俗資料館が先進的に取り組んでいる。

 富山県内では氷見市博物館が2年前から開始。地元漁師が冬に身に着けていたドウマルという腰みのや、氷見でシッチョコと呼ばれるお手玉、わらで作った大きなおわん形の子育て用具のツブラなど、所蔵品21点を介護施設に貸し出している。

 研修会は、取り組みをもっと広げようと開き、市内の福祉施設職員20人が参加した。博物館の職員が道具の使い方を解説。道具だけでなく昔の写真を見せるケースもあり、市中心街にあった映画館や、島尾海岸にひしめくように立っていた海の家など、昭和30年代ごろの氷見市内の写真の紹介もした。

 小境卓治館長は「コミュニケーションをとれなくなっていたお年寄りが民具に触れることで記憶のスイッチが入り、昔の親の話などを始めることがある。特にわらの物に反応を示すことが多い」と、実際に体験した効果を説明した。

 館から民具の貸し出しを受けたことのある同市阿尾の特別養護老人ホームつまま園の職員は「どの民具に反応するかは人それぞれ。湯たんぽを見せると話し始める人もいた」と体験談を話した。別の施設の職員は「写真だけでなく、実際に物があるとお年寄りも話したいという気分になりそう」と感想を話し、興味深そうに研修に臨んでいた。

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