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三重の病院〈92〉 在宅医療クリニックゆめ  松阪市田村町

(2012年4月15日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

24時間体制で「安心感」

画像在宅患者の中川はつのさんを診る木田英也さん(中)と真帆子さん(右)=松阪市京町で

 病気などで医療が必要になっても、住み慣れた自宅で過ごしたい。家族に囲まれて息を引き取りたい。そう思う人は少なくない。「クリニックゆめ」は在宅医療に力点を置き、患者や家族を24時間、365日体制で支える。

 目指しているのは、1人の医師が何でも診る田舎の診療所。外来は週3日。それ以外は、医師の木田英也さん(57)と妻で看護師の真帆子さん(51)が2人で車に乗り込み、松阪市と明和町の患者宅を訪れる。

 訪問先では、透析、輸血、抗がん剤以外の治療をすべて受け持つ。さらに、風呂に入れたり、おむつを換えたり。英也さんは「医者らしくないかもしれないが、1日を快適に過ごせるように、患者がしてほしいことをするんです」と話す。

 英也さんは三重大医学部第一外科を卒業後、県内の6つの病院に勤務した。帝王切開や開頭なども任せられ、多方面の技術と知識を身に付けた。この時の経験が現在に役立っている。

 7年前、津市内の病院にいたとき、乳がん患者をみとった。死後、患者の妹から「姉は家に帰りたかった」と聞かされた。その後、胆管がんの患者を担当した。希望をかなえ、この患者は自宅で療養。英也さんは出勤時と帰宅時に訪問した。1週間後、穏やかに亡くなったという。

 真帆子さんの曽祖母は23年前、自宅で子や孫、ひ孫、玄孫に見守られて亡くなった。そのとき、英也さんが抱いた「自分も畳の上で終わりたい」との思いは、さらに強くなり、クリニック開院へと踏み出した。

 患者訪問時には、家族との会話も大事にしている。真帆子さんは「家族が元気だと患者も安心し、痛みもなくなる」と指摘する。旧南勢町(現南伊勢町)の漁村育ちの真帆子さんは「街は便利だが、みんなどこかに不安を抱いている。だから、呼ばれれば走る」と語る。

 3月の日曜日の午後。101歳の松阪市京町の中川はつのさん宅に、2人の姿があった。「痛いところないですか」「はつのさん、この前よりいいよ。頑張ったな」。2人が問い掛けると、はつのさんの表情が緩んだ。3男の義夫さん(62)は「在宅は大変だが、精神的に得られるものが大きい。何かあると先生が来てくれる。この安心感があるから続けられる」と、母に寄り添った。 (戸川祐馬)

不安のない環境を

 木田英也院長の話 いたい所で、一緒にいたい人と最期を迎えるのが在宅医療。一生懸命になる家族が、不安なく過ごせる環境をつくることが私たちの仕事。何度も通って信頼関係を築く。そのうちに家族のようになり、気軽に話せるようになる。体制が整えば家でも診られるということを、1人でも多くの人に知ってほしい。

 在宅医療クリニックゆめ▽創設 2005年8月▽常勤医1人、看護師1人▽内科、外科▽外来は、月、水、金曜日の午前9〜12時。訪問診療、往診は24時間対応▽松阪市田村町▽電0598(25)1130

画像在宅医療クリニックゆめ

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