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忘れえぬ戦時下のお産 医師が自伝を自費出版

(2012年4月13日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

多治見の田ノ井さん 平和訴えたい

画像戦中戦後の体験を事細かにつづった田ノ井さん=多治見市豊岡町の田ノ井医院で

 岐阜県多治見市豊岡町で産婦人科医院「田ノ井医院」を開く田ノ井久子さん(89)が、戦中戦後の体験をまとめた自伝「太平洋戦争 戦雲下の青春」を自費出版した。(植木創太)

 田ノ井さんは同町出身。多治見高等女学校(現・多治見高)を卒業後、市内で開業医をしていた父の影響で医療の道を志し、東京女子医学専門学校(現・東京女子医科大)で学んだ。終戦直後の1949(昭和24)年に市内で開業してからは、63年間にわたり、東濃・可児地域のお産を支えている。

 自伝では主に、戦中と重なる学生時代や新人医師時代を回想。男性医師が軍医として召集され、繰り上げ卒業で名古屋大医学部に入ったことや、戦地に赴いた同僚医師が帰らぬ人となった時の苦悩などを、当時の写真や資料と共につづった。

 「私はもう駄目だから、夫には再婚するよう伝えて」と言い残して流産で亡くなった母親ら、みとった人の顔が今も浮かんでくるという田ノ井さん。医療物資の不足で万全の治療ができなかった戦中を振り返って「死に行く人の無念に何度も直面した。戦争は本当にむごい。命は替え難いもの。寿命が続く限り、平和の尊さを後世に訴え続けたい」と語った。B6判、106ページ。210部を発行し、親類や親しい友人に配った。非売品だが、同医院で読むことができる。

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