忘れえぬ戦時下のお産 医師が自伝を自費出版
多治見の田ノ井さん 平和訴えたい
戦中戦後の体験を事細かにつづった田ノ井さん=多治見市豊岡町の田ノ井医院で岐阜県多治見市豊岡町で産婦人科医院「田ノ井医院」を開く田ノ井久子さん(89)が、戦中戦後の体験をまとめた自伝「太平洋戦争 戦雲下の青春」を自費出版した。(植木創太)
田ノ井さんは同町出身。多治見高等女学校(現・多治見高)を卒業後、市内で開業医をしていた父の影響で医療の道を志し、東京女子医学専門学校(現・東京女子医科大)で学んだ。終戦直後の1949(昭和24)年に市内で開業してからは、63年間にわたり、東濃・可児地域のお産を支えている。
自伝では主に、戦中と重なる学生時代や新人医師時代を回想。男性医師が軍医として召集され、繰り上げ卒業で名古屋大医学部に入ったことや、戦地に赴いた同僚医師が帰らぬ人となった時の苦悩などを、当時の写真や資料と共につづった。
「私はもう駄目だから、夫には再婚するよう伝えて」と言い残して流産で亡くなった母親ら、みとった人の顔が今も浮かんでくるという田ノ井さん。医療物資の不足で万全の治療ができなかった戦中を振り返って「死に行く人の無念に何度も直面した。戦争は本当にむごい。命は替え難いもの。寿命が続く限り、平和の尊さを後世に訴え続けたい」と語った。B6判、106ページ。210部を発行し、親類や親しい友人に配った。非売品だが、同医院で読むことができる。
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