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胃もたれ、胸焼け… 胃食道逆流症かも

(2012年4月17日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

脂っこい食事や肥満が原因

画像「自覚症状があれば早めに受診を」と話す鳥居明さん=東京都世田谷区の鳥居内科クリニックで

 食べたものが胃酸とともに食道に逆流し、胃もたれ、胸焼けなどの症状を引き起こす「胃食道逆流症(GERD)」が増えている。食生活の欧米化に加え、胃の中にすむヘリコバクター・ピロリ菌の感染者が減り、胃酸の分泌が活発になったことなどが原因とみられる。食道粘膜の炎症が繰り返されると、がんにつながる恐れもある。(編集委員・安藤明夫)

 東京都世田谷区にある消化器専門の鳥居内科クリニックは、経鼻内視鏡を使った食道・胃の検査を年間1000例ほど行っている。

 院長の鳥居明さん(日本消化器病学会評議員)は「胃潰瘍、十二指腸潰瘍はほとんど見られなくなった。圧倒的に多いのがGERD。10年ほど前から多くなったと感じていたが、ここ数年で急激に増えている」と話す。

胃食道逆流症の仕組み

 下部食道括約筋の上部が赤くなっている軽症の患者が多いが、粘膜がただれる「逆流性食道炎」の患者も増えてきた。

 胃酸は、食べ物を消化し、感染症の原因となる菌やウイルスを退治するために、強い酸性になっている。胃酸の分泌が多すぎたり、下部食道括約筋の働きが加齢で弱まったりすると、胃酸が消化中の食べ物とともに食道へ逆流する。食道の粘膜は、胃壁と違って胃酸に弱いため、逆流が繰り返されるとダメージを受けていく。

 来院者の症状は▽胃もたれ▽胸焼け▽睡眠中に胃酸が喉元まで込み上げる▽前胸部の真ん中付近に痛みを感じる−など。40〜50代の働き盛りが中心だ。非アルコール性脂肪肝炎など、他の生活習慣病を合併する人も多い。

 GERDの治療には、胃酸分泌を直接抑えるプロトンポンプ阻害剤が有効で、食道に潰瘍ができている場合でも、薬を飲み続けることで快方に向かう。併せて食生活の改善、減量、運動などを指導していく。

 鳥居さんは「薬で胃酸を抑えることで感染症の増加が懸念された時期もあったが、そのような問題は起きていない。できれば消化器の専門医を受診し、症状に合った処方を受けてほしい」と話す。

ピロリ菌感染者の激減も一因

画像河合隆さん

 もともと欧米に多い疾患だったGERD。日本での急増の背景の1つは、食生活だ。

 欧米型の脂っこい食事だと、消化のために胃酸の分泌が増える。また、肥満によって内臓脂肪で胃が圧迫され、胃の圧力(腹圧)が高まって、胃酸の逆流が起きやすくなる。「一般に、若いころに比べ腹囲が20センチ増えると、GERDの発症リスクが大幅に高くなります」と鳥居さん。

 もう1つの背景は、胃潰瘍や胃がんの発症に関係があるとされるピロリ菌の感染者の減少。

 東京医科大病院内視鏡センター教授の河合隆さんが、30〜50代を中心とした大手企業の従業員約2万人の健診結果を調べたところ、ピロリ菌に感染している人は28%にとどまった。長野県内の高校生に実施した健診では10%以下だった。

 ピロリ菌は、20年前には40歳以上の日本人の80%が保菌しているという研究もあったが、衛生状態の改善とともに急激に減っている。

 「若い世代ほど、きれいな胃が多くなり、食生活の問題も重なって胃酸の分泌が増える。その期間が長いほど逆流も起こりやすい」と河合さん。

 今後気掛かりなのは「バレット腺がん」(食道腺がん)の増加だ。日本では、喫煙や飲酒と関係の深い「扁平(へんぺい)上皮(食道粘膜)がん」が、食道がんの90%以上を占めているが、欧米はGERDが原因となるバレット腺がんが中心。

 河合さんは「炎症ができて、治るといった状態を数十年繰り返すと、がんの危険が高まる。今は子どものころから逆流が起きている場合もあるので、気を付けて早めの治療を」と呼び掛ける。

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