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信州の病院〈7〉 長野県立こども病院 安曇野市豊科

(2012年4月17日) 【中日新聞】【朝刊】【長野】 この記事を印刷する

信頼で結ぶ連携網

画像低出生体重児や病気がある新生児の治療に当たる看護師ら=安曇野市の県立こども病院新生児特定集中治療室で

 まだ目も開かない赤ちゃんが細い管から酸素や栄養分を受けながら懸命に手足を動かす。保育器の付いた小さなベッドの間を、看護師たちが慌ただしく行き来する。まなざしは優しく、いとおしげに、なでるように脈拍や体温を確かめていく。

 未熟に生まれたり、重い病気にかかっていたりする新生児が入る新生児特定集中治療室(NICU)。産科と一体で高度な医療を行う県内唯一の総合周産期母子医療センターとして、新生児科に21床が稼働する。抑えた照明と30度前後に保たれた室温は、母胎の環境に似せるためだ。

 24時間365日体制で、胎児異常や切迫早産などハイリスクの妊婦、呼吸障害や脳・心臓疾患などがある新生児を受け入れる。昨年度の搬送件数は427件。小児専用の高度な設備を備えたドクターカーが、今この瞬間も県内全域を飛び回っている。

 「小さな命のSOSは絶対に断らない」

 新生児科の広間武彦部長(43)の言葉は力強い。県内では1993年以降、救急を要する妊婦のいわゆる“たらい回し”は1件も起きていない。こども病院が緊急搬送依頼を一元的に受け付け、万一受け入れが不可能な場合も責任を持って地域の周産期医療施設へ転院搬送するからだ。県内屈指の充実した医療機器よりも、あらゆる外科手術に対応できるスタッフの技術よりも、信頼関係で結んだ病院間のネットワークを誇りにしている。

 「長期入院児の精神発達のフォローも課題だ。家族はもちろん、地域や教育との連携も深めないと」と広間部長。退院を迎える母子が安心して家庭や地域に戻れるよう、科内には数泊だけ家族生活ができる部屋が用意されている。昨年度からは全国でも先駆的な取り組みとして、継続保育室(GCU、18床)に保育士6人を配置、看護師と協力して子どもの発達を支えている。

 県内でも出生率、分娩件数が減る一方で、初産時の高齢化、母親の痩せすぎなどを背景に、合併症のリスクが上がる低出生体重児(2500グラム未満)の割合が増えている。周産期医療の重要性が増す中、子どもの命を守る最後のとりでとして、地域や病院間の一層の連携体制整備を模索する。(安藤孝憲)

周産期医療とりでに

 原田順和院長の話 子どもと親が「生まれてきて良かった」「生きていて良かった」と笑顔で過ごしてもらうことが大切だ。子どもたちのため、質の高い、安全な医療を行うのが病院の理念。子どもを取り巻く環境や社会情勢の変化にも対応しながら、長野県における小児周産期医療の最後のとりでとしての役割を果たすことが、全職員の責務だと考えている。

 県立こども病院 ▽創設 1993年▽運用病床数 163▽常勤医、臨床研修医など83人、非常勤医29人▽新生児科、産科、循環器小児科など22科▽安曇野市豊科3100▽JR豊科駅から車で10分▽電0263(73)6700

画像県立こども病院

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