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支え合う 患者たちの絆〈15〉 県潰瘍性大腸炎・クローン病患者会

(2012年4月29日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

若い会員減り曲がり角

画像症状が重いクローン病患者が飲む粉末の栄養剤=岐阜市内で

 腹を殴られたような激痛が1日に数十回、押し寄せる。4年前の手術で今は収まっている。が、ほぼ確実に、いつか再発することは分かっている。

 「それでも、痛みがない毎日が楽しくてしょうがない」

 可児市の馬留正樹さん(36)に異変が起きたのは、中学生のころ。下腹部の鈍痛と下痢が1年ほど続き、近くの総合病院で検査を繰り返した。

 「クローン病」と診断された。小腸や大腸に炎症や潰瘍ができ続ける病気。初めて聞く病名で、完治は見込めないと説明された。「自分のことと思えなかった。治るんじゃないかって」

 痛みは3年ほどの周期で訪れ、入退院を繰り返すうちに分かった。「治らないんだ」「なんで自分だけ」。親に当たった。

 炎症を誘発する揚げ物や肉、炭酸飲料、スナック菓子などは食べられない。症状が重いときは、独特な味の栄養剤を水で溶いて食事代わりにした。

 32歳の時、あちこちに穴や狭窄(きょうさく)ができた小腸を1メートルほど切除した。以降、体調は安定しているが、医師は「長くもって10年」。今は1日2回、炎症や下痢を止める薬を飲む。

 馬留さんが会に入ったのは、自暴自棄になっていた高校生のころ。親の勧めで会合に顔を出し、同じ病を患う人たちを知った。

 「自分だけじゃないと分かるだけで、気持ちが楽になりました」

 会にはクローン病のほか、病変が大腸に限られる潰瘍性大腸炎の患者もほぼ同数いる。厳しい食事制限や、外出時は常にトイレの場所を意識することなど、共通の悩みは多い。

 深刻なのは就職。馬留さんは短大時代からデザイン系企業数社の面接を受けたが、採用には至らなかった。病気のことを話すたびに曇る面接官の表情が忘れられない。中には結果報告の電話で露骨に病気を理由に挙げた会社もあった。

 どちらの病気も若者がかかりやすいとされる。波賀野正之副会長(49)=岐阜市=は「若い可能性をつぶさないためにも、もっと社会の理解が必要」と話す。

 患者の声を社会に伝える会は今、曲がり角にある。多いはずの30歳以下の会員は、全体の4分の1程度。会の行事への参加者も減っている。昨年6月の総会には、役員4人を含めて10人しか出席しなかった。今はインターネットなどで病気の情報は得られる。会費を払ってまで、会に入ろうという人は少ないという。

 波賀野さんは会の存在意義を強調する。6年前、全国の患者会が署名を集め、潰瘍性大腸炎患者への医療費助成をなくそうとする国の動きをけん制し、食い止めた実績もある。

 「難病指定を外される危機感は常にある。治らない病気だからこそ、力を合わせないと」  (斎藤雄介)

 炎症性腸疾患(IBD) 治療法が見つかっていない慢性腸炎の総称。大腸の粘膜を中心に病変が起きる潰瘍性大腸炎と、大腸と小腸に炎症を起こすクローン病を指す。潰瘍性大腸炎は、血便や下痢、腹痛などの症状を起こし、大腸がんを併発することもある。クローン病の症状は腹痛や下痢、発熱、肛門の病変など。いずれも食事制限や服薬が必要。30代以下の若い男女に多く、増加傾向にある。国が医療費を助成する難病に指定されている。

 県潰瘍性大腸炎・クローン病患者会(岐阜ちょう会) 1996年、患者と家族計8人が話し合える場をつくろうと設立。会員数は約80人。毎年6月の総会に合わせ、医師による講演会を開催。ボウリングや料理などを通じた交流会を年数回開くほか、病気の情報や会員の声を発信する会報を年3、4回発行している。事務局は波賀野さん方。(電)058(265)6275

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