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三重の病院〈96〉 いせ山川クリニック 伊勢市小木町

(2012年5月20日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

認知症患者と家族支援

画像顔色や所作なども見ながら、じっくりと問診をする山川院長=伊勢市のいせ山川クリニックで

 認知症、慢性頭痛、脳卒中の予防とフォロー(継続治療)、手足のしびれが、診察対象となる疾患の4本柱。中でも認知症は患者の関心が高い。枠を取ってゆっくり診察するため、1月から水曜午前に予約制の「もの忘れ外来」を設けた。

 山川伸隆院長(47)は患者と向き合い、思いを引き出す問診に重きを置く。「診察室に入ってくる様子や歩き方、症状、表情などの全てが大切な所見」と力を注ぐ。

 特に初診は、現状や治療の必要性をじっくりと探っていく。「70代、80代の患者さんから見たら孫の世代」と白衣もネクタイも着けないざっくばらんな服装を心掛け、本当のおじいちゃん、おばあちゃんの顔が見えるように注意を払う。

 患者の数%は手術や薬で治療可能な脳腫瘍などが原因。見逃さないように早期の検査も重要だ。

 認知症患者は、自分で症状に気付く人は少ない。徘徊(はいかい)や暴言、幻覚などのBPSDと呼ばれる周辺症状が原因で、家族に連れられ来院するのがほとんどだ。進行を抑える薬はあるが、治す薬はまだないため、患者と家族のバランスを取る治療が中心になる。

 まず家族には、来院前に患者の様子や希望、飲んでいる薬について紙に書いてもらい、それを読んでから別々に家族と患者の話を聞く。その際、患者の話に事実と矛盾があっても指摘しない。患者は「取り繕い」といい、自分を良く見せようとするため「できないことや格好悪いことも恥ずかしがらずに話せる雰囲気づくり」を大切にしているからだ。家族に遠慮して言えない本当の希望を、顔色や所作、質問に対する反応を見て、想像力を働かせてくみ取るよう努めている。

 「じっくり話を聞かず、薬を出すだけでは解決にはならない」と山川院長は力説する。例えば、昼間眠そうにしている人に、夜寝られる薬を欲しいと家族に言われる。話を聞いていくと、夜、数回トイレに起きていて家族も眠れない。それなら泌尿器科で尿を調節する治療をする。患者が良くなることで「みんなも笑顔になる」。総合的に病状を診断し、地域の医療機関や介護施設などと連携を図り、認知症患者と家族を支援する態勢を目指している。 (大槻宮子)

 予防医療に力注ぐ

 山川伸隆院長の話 脳神経外科医として、脳卒中や脳腫瘍などの手術を中心に治療に当たってきたが、予防医療に力を入れようと開業した。例えば、手術をして命は助かったが、またリハビリという場合も、予防をしていれば何ともない。脳卒中や認知症にしても、生活習慣病と関連が深く、予防することで、発症しないように治療と指導に力を尽くしている。

 いせ山川クリニック ▽創設 2007年1月▽病床なし▽常勤医1人▽脳神経外科、神経内科、内科、リハビリテーション科▽伊勢市小木町557▽三重交通「ララパーク前」停留所下車徒歩4分▽電0596(31)0031

画像いせ山川クリニック

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