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お元気ですか(1210) 冠動脈バイパス手術

(2012年7月11日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する

より良い治療効果期待

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 2月18日に天皇陛下が「冠動脈バイパス手術」をお受けになられたことが、記憶に新しいところです。ところで、どのような病気に対する手術治療か、皆さんはご存じでしょうか。ヒントは生活習慣病と関連の深い病気です。実は、狭心症、心筋梗塞という、心臓の病気の治療方法の1つなのです。

 これらは虚血性心疾患と呼ばれ、心臓に酸素や栄養を運ぶ通り道(血管)が動脈硬化により細くなり、心臓の筋肉(心筋)が酸素不足となります。この状況を狭心症と呼びます。さらに、酸素が届かなくなり、心筋が傷んでしまう状況を心筋梗塞といいます。心筋梗塞に陥りますと、その部位や範囲の大きさにより、生命に危険をもたらす可能性が出てくる、怖い病気なのです。

 この病気を予防したり治したりする方法は、まず食事の改善や運動など生活態度を改善することです。それでもよくならないときは、薬による方法のほか、カテーテル治療や冠動脈バイパス手術を試みます。

 カテーテル治療は、風船やステントと呼ばれる金属のトンネルの支柱のようなものを用いて、傷んだ冠動脈を直接広げます。例えて言うなら除雪作業に似ています。それに比べて、冠動脈バイパス手術は悪い部分を通り越して、その先に道をつなぎます。例えて言うなら、渋滞の多い道路に対して、少し遠回りですが高速道路をこしらえるようなものです。

 カテーテル治療は大きな傷痕が残らず、麻酔も局所で済むため、手術の繰り返しが可能で多くの利点があります。しかし、数カ所の傷んだ血管がある場合は、冠動脈バイパス手術の方が有利であるという報告が増えてきております。冠動脈バイパス手術は大手術ですが、このような報告は、カテーテル治療に比べて、より良い治療効果が期待できる証拠と考えられます。ご参考にしていただければ幸いです。(市立長浜病院心臓血管外科・河野智=滋賀県医師会)

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