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認知症の高齢者に思いやりを 児童施設へ絵本寄付

(2012年7月13日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【石川】 この記事を印刷する

介護施設運営の小坂さん お礼の手紙に返事も

画像全国の施設の子どもたちから届いた手紙に目を通す小坂さん=金沢市涌波で

 金沢市涌波で小規模通所介護施設「リビングデイサービス」を運営する介護福祉士の小坂直樹さん(47)が、認知症の高齢者への思いやりの大切さを伝える自身の絵本「おばあちゃんのノート」を全国約585の児童養護施設に寄付した。メッセージを一番伝えたかった全国の子どもたちから100通を超えるお礼の手紙が届き、仕事の合間を縫い返事書きに追われる毎日だ。(室木泰彦)

 全国の子どもたちに読んでほしいと、6月中旬に全国児童養護施設協議会(東京都千代田区)を通じ加盟施設に1冊ずつ寄付。約1週間後から、北海道−九州の各施設から手紙が続々と届いている。

 児童養護施設は、親の離婚などの事情で自宅から通えない幼児から高校生までを受け入れ、職員らの指導で共同生活を送る。絵本を読んだ幼児たちが「内容が難しかった」と素直につづる一方、小学5年生男児は「人のお世話は大変だけど、ぼくもおじいちゃん、おばあちゃんの世話をしてみたい」と感想。介護職を希望する女子高生は「現場実習で(絵本のような認知症の)おばあちゃんみたいな人がいたら、あせらずのんびりかかわっていきたい」と思いを込めた。

 職員が子どもたちに読み聞かせる写真同封の手紙もあり、小坂さんは「指導ぶりまで伝わるようでうれしい。子どもなりに正直につづってくれ、寄付して本当によかった」と笑顔。すべての手紙に返事を書く考えで「文章を書いた子どもの頑張りに応えることで、今後の意欲を引き出せるのでは」と願う。

 小坂さんは介護や認知症への理解を広めたいと絵本に着目。昨年のコンクール「お母さんの絵本大賞」(石川テレビ・北陸中日新聞主催)に初挑戦し入賞。この文章を基にイラストレーター水上みのりさん(東京都在住)が描き、幻冬舎ルネッサンスが出版した。B5判、32ページで3刷分計3千冊を発行した。

 作品は施設に通う祖母と孫の女児の物語。祖母は認知症で物忘れが激しいが、針仕事がうまい。物忘れ防止で書くノートを通じ祖母の優しさを知った女児は、物忘れを怒らず、針仕事が上手な長所を生かしてあげる大切さを学ぶ。小坂さんは介護現場の経験を踏まえ初めて文章化し絵本にした。

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