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支え合う みえの患者団体〈10〉 1型糖尿病 つぼみの会三重

(2012年11月4日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

誤解や偏見病気理解を

画像慣れた手つきでインスリン注射を打つ成田蒼葉君(右)。母親の順子さんがそばで見守る=伊勢市内の自宅で

 伊勢市の成田順子さん(34)が、長男蒼葉(あおば)君(9つ)の異変に気づいたのは3年前だった。「のどの渇きを訴えるようになり、どんどんやせて階段を下りるのさえつらそうだった」。1型糖尿病と診断され、すぐに入院。それから毎日の食事と就寝前の最低4回、インスリン注射を打つ生活が始まった。

 1型糖尿病は、血糖値を下げるインスリンが分泌されなくなる原因不明の病気。運動不足や偏った食事が原因となる一般的な2型糖尿病とは違い、根本的な治療法はない。食事前などに必要な量のインスリンをおなかや腕に注射し、血糖値の上昇を抑える必要がある。2型と比べて子どもの発症率が高く、患者は5千〜1万人に1人とされる。

 蒼葉君も4週間の入院中に注射のやり方を学び、自分で針を打つ。「針が細いから痛くない。水泳やサッカーもできるよ」とあどけない顔で話した。

 ただ、患者を取り巻く環境は厳しい。県内の患者と家族が1986年に設立した「つぼみの会三重」。浦野公子会長(56)=伊勢市=は「一般的な糖尿病と混合され、誤解や偏見は多い」と語る。親の食事のせいにされたり、就職活動で差別されたり。食事制限をしても症状は改善されないのに「炭水化物を食べてはいけない」と間違った思い込みで話し掛けられることはしばしば。

 さらに治療費が重くのしかかる。小児慢性特定疾患に指定されているため、自己負担の限度額が月5千円程度に抑えられているが、それは成人まで。その後は一般の病気と同じ扱いとなり、3割負担なら治療費は3〜4倍に跳ね上がる。

 風邪などの体調不良や運動によりインスリンの効き方が違うため、血糖値のコントロールも難しい。効きすぎると低血糖状態になり、意識を失うことがある。

 浦野さんの長女で、10歳のときに発症した早貴(さき)さん(20)は「低血糖になっても糖分を補給すれば大丈夫になる。みんなと同じように生活できることを分かってほしい」と話した。

 つぼみの会は、病気への理解を深めてもらうため、定期的に講演会などを開く。浦野会長は「1型糖尿病を知る人は少しずつ増えてきた。今後は治療法が見つかるよう、国に研究支援などを働き掛けていきたい」と話している。 (宿谷紀子)

 1型糖尿病 血糖値を下げるインスリンを分泌できなくなる自己免疫疾患の1つ。血糖値を下げるホルモンはインスリンしかなく、注射などで補う必要がある。生活習慣病の2型糖尿病とは異なり、根本的な治療法がない。2型と比べて子どもの発症率が高く、膵臓(すいぞう)移植をしない限りインスリン注射は一生続く。血糖値のコントロールが難しく、高血糖状態が長く続けば、目の障害などの合併症を引き起こすおそれもある。

 つぼみの会三重 1986年設立。1型糖尿病の患者と家族が対象で、会員は76人。年4回程度会報を発行するほか、勉強会や講演会を開いている。12月16日には、津市桜橋の県津庁舎で病気の治療に関する講演会を開く。会員と学生以外は参加費1000円。問い合わせは、副会長の大久保和子さん=電059(331)0756=へ。

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