つなごう医療 中日メディカルサイト

支え合う みえの患者団体〈14〉 全国筋無力症友の会三重支部

(2012年12月2日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

多岐な症状情報交換

画像設立総会に集まった三重支部のメンバーら=津市桜橋の県津庁舎で

 突然まぶたが下がってきたのは6年前だ。津市の会社員桜井健司さん(51)は、おかしいと思って眼科を受診したが、原因は分からなかった。徐々に腕が上がらなくなり、重い荷物が持てなくなった。整形外科や眼科をいくつも訪ねた。「重症筋無力症」の診断が出るまで、半年かかった。

 重症筋無力症は、筋肉が収縮しなくなる病気。筋肉の収縮を促す物質アセチルコリンの働きを阻害する抗体を、体内で作り出してしまう自己免疫疾患の一種だ。胸腺腫ができたことに伴って発症する場合は胸腺を摘出すれば回復するが、そうでないものの原因は分かっていない。

 11月17日、全国筋無力症友の会の三重支部が設立された。総会に集まったメンバーは口々に「車を運転中、センターラインや対向車が二重に見える」「食べものをのみ込みづらくなった」とさまざまな症状があることを訴えた。あまり知られていないため、他の病気と勘違いされることもある。診断が出るまでに、桜井さんのように複数の病院を受診しなければならない人も多い。

 桜井さんは投薬治療を続けたが、症状は良くならなかった。歩くのもつらく、100メートル歩いては5分休憩、の繰り返し。「見た目が健康な人と何も変わらないのに、できないことが多くて。周りからサボって見られるのがつらかった」。3年前に手術で胸腺を摘出。最近ようやく症状が回復し「休憩まで100メートルだったのが、1キロまで延ばせるようになりました」。

 集まったメンバーの多くは「病名さえ知らなかった」と口をそろえる。三重支部の設立を支えた愛知県支部長の小林悦子さん(57)=愛知県半田市=は18歳で発症。「原因が分からないのが苦しくて、自殺も考えた」。同じ病気の夫と出会い、支え合ってきた。子どもにも恵まれた。

 今では体重11キロの孫を抱くことができる。力が入らず、自分の子どもが抱けなかったのに。「たわいもないことがうれしいのね。ああ、生きててよかった、って」 (佐々木礼弥)

 重症筋無力症 筋肉が収縮せず、力が入らなくなる自己免疫疾患。症状が多岐にわたり、他の病気の症状と似ている点が多く、本来の神経内科でなく他の科を受診してしまう人も多い。投薬治療では免疫を抑制する働きのあるものを服用するため、他の病気にかかりやすくなる。三重県では234人の患者が確認されている。

 全国筋無力症友の会三重支部 11月17日に21人で発足。重症筋無力症の患者とその家族が対象。医師などを招いた医療講演会や、服用薬の情報交換などに取り組む。問い合わせは小林悦子さん=電話・ファクス0569(22)5122=へ。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人