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支え合う みえの患者団体〈15〉 三重心臓を守る会

(2012年12月16日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する

交流の場づくり大事に

画像会報の発送作業をしながら語り合う会員=津市桜橋の県難病相談支援センターで

 「まさか…心臓病なんて」。生後1カ月の次男を抱えてぼうぜんとした。熱を出し「長男のインフルエンザがうつったのかな」と受診した病院で告げられた病名に耳を疑った。先天的な心臓疾患のファロー四徴(しちょう)症。肺動脈が太すぎ、小さな体の中で血液の逆流が起きていた。4歳になって手術すれば助かるというが「朝、息が止まっていたらどうしよう」。不安で眠れない日が続いた。

 22年前の1月のことだった。西村信子さん(52)=津市川方町=は「周りに心臓病の人はいなかったし。とにかく誰に何を相談したのか、当時のことをよく覚えていない。それくらいわれを失っていました」と振り返る。

 その2カ月後、全国心臓病の子どもを守る会県支部の存在を知り、わらにもすがる思いで電話をかけた。「よく頑張ったね。大丈夫。同じ立場の人たちがいるよ」。会の事務局長から温かい言葉が返ってきて、涙があふれた。

 会には、同じファロー四徴症の子を持つ“先輩”も多く、力が湧いてくる体験談が聞けた。手術をして回復した子どもを見て「うちの子も、いつかこんなに元気になるんや」と心の支えになった。同じ年ごろの親と友達になれたのも大きかった。「相談できる人がいないのが、本当につらかったから」

 次男は手術を受けて回復。定期検査が欠かせず運動も制限されてきたが、今年3月に県内の会社に事務職員として就職した。

 最近はインターネットの普及により、相談掲示板やコミュニティーサイトを頼る親も増え、会員も減少傾向だ。しかし会では、クリスマス会や泊まりがけの旅行など、会員が顔を合わせる場づくりを大事にしている。

 根底にあるのは「心臓疾患は一生付き合う病気」という認識。健康な人と全く同じ生活を送れる人は少なく、医療技術の発達で助かる命が多くなった一方で、就職や結婚の際の障壁になるなど、成人になるにつれ悩みが深くなる。

 「だから、悩みを共有できる友達が大きな支えになる」と西村さん。現在は会の事務局長を務めている。相談の電話を受ければ「よく頑張ったね」と声をかける。自分が救われた、あの日の電話のように。 (井口健太)

 ファロー四徴症 先天性の心臓疾患。(1)肺動脈が細い、太い(2)心室の隔壁に穴がある(3)右心室の肥大(4)大動脈が左右両方の心室につながっている−の4種類の異常がある。唇や皮膚が青紫になるチアノーゼなどの症状が見られ、死に至ることもある。治療には幼少時の手術が必要で、医療技術の進歩により現在の対象年齢は1〜2歳となっている。

 三重心臓を守る会 1982年、全国心臓病の子どもを守る会県支部として発足した。現在の会員は家族や患者本人ら80人。医療講演会の開催や会員間の情報交換に力を入れる。毎月、会報も発行している。問い合わせは会長の油島千恵子さん=電059(229)2506、または西村さん=電059(255)4661=へ。

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