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静岡の病院〈49〉 坂の上ファミリークリニック

(2013年2月10日) 【中日新聞】【朝刊】【静岡】 この記事を印刷する

自宅、施設に出向き診察

画像寝たきりの男性患者を診察する小野院長=浜松市中区で

 自宅や福祉施設に出向いて診察する訪問診療に力を入れる。通院できない高齢者から末期がん患者まで、利用者は浜松市内を中心に700人を超える。小野宏志院長(43)は「がん患者でも家に帰ってくると元気になる方がいる。不思議ですけど、家族の力は大きい」と話す。

 「お変わりないですか」「ごはんは食べられていますか」−。1月下旬、寝たきりの男性(81)宅を訪問した小野院長。聴診器で胸の鼓動を確認しながら、体調の変化を尋ねる。「大まかな健康状態は、顔色や目の輝き、言葉の出具合で分かる」と話す。男性は心筋梗塞や前立腺がんを抱える。3年前に多発性脳梗塞の後遺症で寝たきりになり、訪問診療を利用している。見守る家族は「入院は本人も寂しいし、私たちも出掛けなくてすむ。助かっています」という。

 小野院長は、薬剤や点滴などの医療器具を詰め込んだカメラバッグに、登山用ジャンパー姿。「ポケットも多くて動きやすい。白衣だと構えられる」とも。この日は、肥大型心筋症の80代女性や膵臓(すいぞう)がんの50代男性宅など10カ所を回った。週末だと30人近く診ることもあるという。

 医師や看護師が日時を決めて定期的に診る訪問診療は2005年の開業以来続けている。容体が急変した患者には日曜日でも24時間体制で往診する。最期を看取(みと)る患者は、毎年約250人におよぶ。「住み慣れた自宅で人生を終えられれば本人も本望だし、家族も見とどけられた安心感があるはず」と小野院長。小さな子どもや孫らも、祖父母や両親の死を間近に見て、「命が受け継がれていくことを学べる」と強調する。同院が利用者家族を対象に4年前に行ったアンケートでは、「望んだ場所で過ごせた」「家族や友人と十分に時間が取れた」など、8割余りで好評価を得ている。

 看護師やヘルパー、事務職員らのレベルアップに向けて、院内勉強会をはじめ、医師やカウンセラーを招いた講習会も開いている。小野院長は「命を預かる仕事。プロとして責任を自覚することが大事」と説く。 (赤野嘉春)

 在宅医療を知って

 小野宏志院長の話 在宅医療は患者が安心して暮らしていくためにサポートするもの。自宅で最後まで暮らすことができ、少しでも良かったと思ってもらいたい。多くの方に在宅医療を知ってただき、広めていけるようにしていきたい。

 浜松労災病院 ▽(浜松市東区)心臓血管外科副部長だった小野院長が2005年開院し、訪問診療と訪問介護も始めた。07年、訪問看護ステーション併設。11年に有料老人ホーム(東区半田山)、居宅支援事業所(同)を開設▽内科、外科、循環器科、小児科の4科▽常勤医4人、非常勤医9人▽浜松市中区小豆餅▽電053(416)1640

画像浜松労災病院

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