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支え合う 患者たちの絆〈31〉 がん患者交流「ぽんサロン」

(2013年3月17日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

仲間と悩み共有、笑顔

画像中野さん(中央奥の女性)から呼吸法の手ほどきを受ける参加者ら=養老町船附で

 「はーっ」「あーっ」。部屋に大きな声が響き渡る。1時間ほどのプログラムを終えると、参加者から口々に「すっきりした」と声が上がった。

 岐阜県養老町船附で、がん治療や漢方診療などを手掛ける「船戸クリニック」の一室。昼下がりのサロンに12人ほどの通院患者らが集まった。

 アロマセラピストなどとして幅広く活動する中野真澄さん(42)=京都市=を講師に招いたこの日は、家庭でできる東洋予防医学「アーユルヴェーダ(インドの伝統医療)」を体験。声を出しながら独特の呼吸法を実践する患者らに、中野さんが「全てを吐き出すように」と助言した。和やかな雰囲気で笑顔が絶えない。

 ぽんサロンは、「死」について考えようと15年前にこのクリニックで始まった会「シルバーバーチ」が発展するかたちで3年前に誕生した。シルバーバーチは本の輪読が主だったのに対し、ここは、患者同士が悩みを共有し、語り合うことのできる場という位置付け。名称の「ぽん」はがんを指す。

 開くのは毎週水曜の昼下がり。医師や医療関係者らが講師になり、「目の疲れをとる」「輪廻(りんね)」など、さまざまなテーマで患者らと交流を図る。

 がん患者の中には、治療してくれる医師や病院を探し求め、途方にくれる「がん難民」も多い。船戸崇史院長(54)は、ぽんサロンについて「もともとは、がん難民に生きがいを与えようと始めた。サロンだから一方通行にならないように」と話す。

 現在は県内外から、50〜60代を中心に15人ほどが集まる。がん患者に限らず、身内にがん患者がいる人や、他の病気などで通院している患者などの姿も。基本的には誰でも参加できる。

 作業場での事故で足などが不自由になった辻井孝行さん(57)=輪之内町中郷新田=は、ほぼ毎週ぽんサロンに通っており、「楽しく話して笑って、身内みたい」とにこやか。京都から講師として訪れる中野さんも「ここはオアシス。仲間の大切さ、助け合いの大切さを皆さんから学ぶ。ここに来ると常に笑顔でいられる」と話し、学ぶ点が多いという。

 家族ががんを経験した女性(62)=大垣市荒尾町=は「毎回、先生の話が素晴らしい。1人で泣いていないで、みんなで話を共有したい」と話し、「ここでいろんな人とつながることができれば」。

 船戸院長は「人は、がんでなくてもいずれ死んでいく。死や生を考える場にしていきたい」と話している。 (榊原大騎)

 ▽ぽんサロン△ 3年ほど前、船戸クリニック(養老町船附)の統合医療センターの1室で、がん患者などの交流の場としてスタート。毎週水曜の午後2時から開催している。参加費は1回500円。医療関係で、交流や情報交換をしたい人は誰でも参加できる。(問)同センター=電0584(35)3511。

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