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支え合う 患者たちの絆〈34〉 腎臓病患者会「共栄会」

(2013年5月5日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

治療費助成継続へ活動

画像総会に参加した会員たち=長野県平谷村で

 岐阜県中津川市千旦林の市川元一さん(76)が病に襲われたのは1997年10月だった。当時あった市内の職業訓練校のベンチで、昼休みに持参した弁当を食べた。たばこで一服していると突然、倒れた。「気が付いたら病院にいた」

 中津川市民病院(同市駒場)に入院。慢性腎不全と診断され、人工透析治療を受けた。「何で? どうして?」

 健康には自信があった。長年勤めた物流会社では、荷物の配送や積み降ろしなどをこなし、勤務を終えると外でお酒を1杯。帰宅後も飲み続けた。「飲まないとやっておれんかった」。友人は「町内でも横綱クラスだった」と当時の酒豪ぶりを振り返る。

 入院して19日後に退院。透析専門の「中津川共立クリニック」(同)に移り、透析治療は今も続く。

 治療費は1回3万円。クリニックに月13〜15回通い、薬代を含めると月約50万円かかる。助成制度のおかげで自己負担はゼロだ。

 透析患者の多くは身体障がい者手帳を取得する。県内では、重度心身障がい者医療費助成制度(所得制限あり)で申請した1〜3級の障がい者は、保健医療の自己負担分は全額、県と市町村が公費で賄う。

 中津川市は独自に4級の障がい者にも助成を拡大している。他の助成制度もあるが、市によると、少なくとも重度心身障がい者医療費助成制度を受ければ、自己負担は無料になるという。

 しかし、市川さんは、県や市の財政難が深刻になれば、患者も自己負担を求められかねないと危ぶむ。NPO法人県腎臓病協議会(各務原市)は、財政難が患者にしわ寄せしないよう、国も一定程度負担する自立支援医療制度(更生医療、所得制限あり)の利用も呼び掛ける。

 市川さんも、共立クリニックの患者らでつくる共栄会の会長として、また同会が所属する市腎友会副会長として、助成の継続を求める署名運動などを続ける。高額な透析治療だが、やめれば命にも関わる。「年金生活者がほとんど。自己負担を求められると、中には治療をやめる人も出てくるのでは」

 2010年1月には、中津川市民病院が透析の通院治療を3月末に中止する方針を示し、患者の間に動揺が走った。春の常勤医の異動を補充できない見通しとなったためだが、市川さんらは継続を求める署名集めを急いで市などに提出。回数は減ったものの、治療の継続は確保した。

 市川さんは「いかに患者を守っていくか。みんなが同じ歩調でいけるよう願っている」と患者の団結に向けた思いを語る。 (平野誠也)

 腎臓病 血液から老廃物や毒素を除去して排せつしたり、体内の水分や電解質を調節したりする腎臓の働きが悪くなる病気。一定程度の働きが失われると腎不全とされる。透析は人工的に老廃物や余分な水を除去する治療。血液を「ダイアライザー」という機器に通して戻す血液透析が主流となっている。

 ▽共栄会△ 1989年11月に中津川共立クリニックの透析患者らで発足。現在は中津川、恵那両市内の40〜90代の146人が会員。総会やクリニックとの懇談会、家族交流会、署名活動などを実施する。中津川市にある他の患者2団体と市腎友会を構成する。問い合わせは、市川元一会長=電0573(68)2877=へ。

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