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<びわこの光~重症心身障害児・者の今> (番外) 山崎理事長インタビュー

(2013年5月9日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する

地域連携より深く

画像地域医療との連携も視野に入れる山崎正策理事長=野洲市のびわこ学園センター野洲で

 故糸賀一雄氏が創設した重症心身障害児・者施設を運営する社会福祉法人びわこ学園(本部・滋賀県野洲市)。障害の重い一人一人が輝き、安心して暮らせるまちづくりという理念は50周年の節目を迎える今も変わらない。一方、増える入所待機者、保護者の負担軽減など課題もある。学園のこれからについて山崎正策理事長(64)に聞いた。(聞き手・梅田歳晴)

 −50年の成果は。
 はじめは重症心身障害児・者の入所施設だった。職員は理念をしっかり背負い、在宅支援へと活動を広げた。今後は、重症児・者だけではなく軽度の知的障害者も含めて障害専門医療や生活相談ができるようになればと思っている。

 −運営で大切にしてきたことは。
 重症児・者本人とのコミュニケーションを成り立たせる。「本人理解」と言っているが、昔も今も営々と繰り返している。職員も自分をさらけだす覚悟がいる。そこで初めて気持ちが通い合い、やりとりもできる。本人は成長するし、僕らを通じて社会を理解する。「発達の舞台」となる関係作りに皆が力を尽くしている。

 −短期入所(ショートステイ)の希望者が多い。
 短期入所の病床が不足している。ベッドが増えれば、医師や看護師の確保も必要になり、一度に大幅増は難しい。年単位で少しずつ進めているが、5とか10床とか大幅増は行政との相談も必要になってくる。

 −重症児・者を介護する保護者には地域で住み続けたいというニーズもある。
 在宅か入所かだけではなく、いろいろな生活の場を選ぶ選択肢、つまり居場所の多様化が大切。家庭介護力が落ちれば自宅では見られない。医療的に重い人は施設入所だが、通院できればケアホームで生活するのも良い。ケアホームは施設入所の待機者を減らすことも目的の1つだ。

 −一昨年大津市に開いたケアホームは新たな挑戦だった。
 運営の採算が取れるなら、ほかの地域にも造りたい。ノウハウを得れば、他の社会福祉法人にもできるかもしれない。大津市のケアホームは、どこまでやれるのか確認のために、先駆的に始めた面もある。

 −湖南圏域の医師会に重症児・者の地域サポートを検討する動きがある。
 地域医療との連携は大切なこと。われわれの反省の1つは、医療も生活介護も何でも学園内でつくり出し完結していたこと。例えば、学園のセンター野洲は、住民が住む場所からは少し離れている。これではいけませんよね。湖南地域の医師会や開業医の皆さんの間で、連携への理解がだんだん深まってきている。在宅の重症児・者に開業医はどういうレベルの医療をしていけば良いのかという話も出ている。将来的には、今の医療体系のなかに開業医、大学病院が1次、2次、3次、4次という階層を作っていかないといけない。普通の人に比べれば格段の差はありますが、重い障害のある人もできるだけ地域で普通に暮らしていけるようになればいいですね。

 やまざき・しょうさく 1949年3月31日、京都市生まれ。75年に京都府立医科大医学部医学科卒業。同大小児科研修医などを経て滋賀医科大医学部大学院に進学。大学院修了後に彦根中央病院で勤務し、国立病院機構紫香楽病院小児科医長や近江八幡市民病院小児科部長を歴任。93年から旧第2びわこ学園(センター野洲)の施設長を務め、2003年から現職。専門分野は小児神経。

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