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魚の「利き鼻」脳内遺伝子が決定 名古屋市大教授ら特定

(2013年5月20日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

ヒトの損傷回復に期待

特定の遺伝子により利き鼻が決定されるしくみ

 名古屋市立大大学院医学研究科の沢本和延教授と岸本憲人特任助教らのチームは、左右の鼻の穴のうち優先的に使う「利き鼻」を決める脳内の遺伝子(DNA)を小型淡水魚を使った実験で特定した。体の機能の左右の差を決定する仕組みの一部が分かり、ヒトの脳のメカニズムの解明や、脳の損傷回復などの研究につながる可能性がある。19日、米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンスに発表した。

 ヒトや動物は、手や目、鼻など左右対称の器官でどちらか片側を優先的に使うが、脳が決定する過程は詳しく分かっていない。

 研究チームは、ヒトと遺伝子情報や脳の仕組みが似ている小型淡水魚ゼブラフィッシュの成魚で実験。脳中央部の脳室付近で作られる神経細胞を調べると、左脳の嗅覚に関わる神経細胞で、特定のDNAが活発に働いていることを見つけた。

 左脳が作用する左鼻に栓をすると、えさのにおいに引き寄せられなくなり、左鼻が「利き鼻」であることが分かった。1週間後、再びにおいに引き寄せられるようになり、脳を調べると嗅覚に関わる神経細胞のDNAが右脳に多く発生し、利き鼻を右鼻にかえていた。成長後も神経細胞が新たに生まれていることが分かった。

 ヒトの脳は生まれた後、細胞を作る能力はほとんどないとされてきたが、ヒトと脳の仕組みが似ている成魚の脳室付近から新しい神経細胞が発生していることから、ヒトが大人でも新たな神経細胞を生成する可能性があることが分かった。

 沢本教授は「新たにできる神経細胞のDNAを特定できたことで、脳を損傷しても、無事残っている部分で改善できる可能性があることが分かった」と話した。

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