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乳幼児に「手足口病」流行 昨年同時期の7倍

(2013年8月6日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

手洗い、うがいを

画像手足口病の4歳の男児を診る前田敏子院長=名古屋市緑区のなずな病児保育室で

 夏風邪の一種とされる、ウイルス感染症「手足口病」が、乳幼児の間で流行している。国立感染症研究所への患者報告数は、この10年では、大流行となった2011年に次ぐ多さ。専門家は、手洗いなどで感染の拡大を防ぐよう呼び掛ける。(佐橋大、吉田瑠里)

 「今年は大流行。7月上旬から中旬は、患者の3分の1ぐらいは手足口病でした」。名古屋市緑区のコスモスこどもクリニック院長の前田敏子さんは話す。

画像手足口病の発疹=コスモスこどもクリニック提供

 一般的に手足口病は、手のひらや足の裏、口の中に、水ぶくれのような米粒大の発疹ができ、発熱することもある。患者の多くは4歳以下の乳幼児で、大半は2歳以下だ。

 国立感染症研究所に全国の3千の医療機関から報告があった患者数は、最新の1週間(7月15〜21日)で1カ所あたり8.09人。昨年同時期の7倍。大流行といわれた一昨年に迫る勢いだ。

手足口病の報告患者数

 流行の中心は、西日本から関東に移っている。都道府県別では埼玉県が18.69人と最も多く、東京都13.71人、大分県12.64人と続く。関東では軒並み過去10年の最多患者数を更新している。関東、九州、中国、東海地方で警報レベルの「5人」を超える都府県が多い。

 かかったウイルスには免疫ができるが、病気を起こすウイルスは複数あり、何度もかかる。ウイルスにより、症状が微妙に異なる。一昨年に比較的多かった、発疹が肘や膝まで派手に広がるウイルスが、今年も多く報告されている。ウイルスをたたく薬はないが、多くの場合、特に治療をしなくても1週間程度で治る。

 ただし、気を付けたいのは2点。1点目は口の中の発疹に伴う痛みで、食が細くなり、脱水になりやすくなること。愛知県衛生研究所長の皆川洋子さんは「まだ、脱水を起こしやすい暑い日が続く」と注意を促す。脱水した場合は、点滴などの対症療法をする。

 2点目は、まれだが髄膜炎になる危険性があること。前田さんは「高熱が長引く、頭痛、嘔吐(おうと)などの症状があれば髄膜炎や脳炎の可能性がある。再受診して」と呼び掛ける。一方、名古屋市北区の総合上飯田第一病院小児科部長の後藤泰浩さんは「39度以上の高熱、嘔吐、不機嫌などの症状が出たら要注意。そうでなければ、安静にして体力の消耗を避けるなど一般的な夏風邪の対応で済む」と指摘する。

 感染は主にくしゃみのしぶきで広がる。水ぶくれが破れ、内容物が手につき、口などの粘膜を介してうつることもある。皆川さんは「手洗い、うがいが最大の予防策。便には数週間にわたってウイルスが出るので、おむつの処理後にも、よく手洗いを」と呼び掛ける。タオルを共有しないことも、感染の拡大防止に有効という。

食べ物工夫し、脱水を予防 口当たり良いうどんやプリンを

 コスモスこどもクリニック併設の病児保育「なずな病児保育室」のスタッフに、口の中が痛くて食事ができない場合の対処法を聞いた。

 看護師は「口当たりが良く、すぐエネルギーになるうどん、にゅうめん、おかゆがお勧め。食べられなければプリン、ゼリーなどかまなくてよく、のど越しの良いものを」と話す。にゅうめんは細かく切ってとろみを付け、スプーンで口に運ぶと食べやすい。野菜、麩(ふ)、油揚げを細かく切って入れてもよいという。

 舌先とのどの奥に、手足口病の炎症が計6カ所ある4歳の男の子は「つばを飲み込むと痛い」というが、うどんはお代わりして食べていた。

 保育士は「飲食できなくても、口で溶けるスティックパンが突破口になり、水分が少しずつ取れるようになる子も多い」という。食べるのを嫌がる場合は強制せず、飲み物は乾杯するなど楽しい雰囲気を心掛ける。子どもには「痛いね、でも大丈夫よ、治るからね」と言葉を掛けるという。

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