つなごう医療 中日メディカルサイト

難病患者の医療費負担案 「実態見ていない」

(2013年10月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 難病発症、作家の大野更紗さん 影響を危惧

難病医療費について体験を交え語る作家の大野さん=25日、東京都港区で(嶋邦夫撮影)

 「治らない病を抱えながら何とか社会に参加し、生きようとする人たちにとってもあまりに重い負担だ」。厚労省が示した新たな医療費負担案について、難病当事者で難病政策の改革に取り組む作家の大野更紗(さらさ)さん(29)は、働く若い世代の患者への影響を危惧する。

【関連記事】難病重症者も自己負担 無料から年最大53万円に 

 新負担案を受け、大野さんは仲間とともに、税金などを差し引いた可処分所得に占める自己負担額の割合を試算。年収370万円の単身世帯では現行制度で2.4%なのが新制度案では17.9%に、夫婦2人世帯で患者が被扶養者の場合では、3.8%が17.66%にも跳ね上がる。

 難病患者をめぐっては、医療費助成を受けられる「特定疾患」が56に限られるなど「制度の谷間」が課題で、大野さんも改善を訴えてきたが、国は対象を300以上に広げる代わりに今の制度を使う人の負担増を打ち出した。「社会の中で一定の割合で発症するリスクをみんなでシェアするのではなく、難病患者内で負担しろということなのか」

 大野さんは2008年に自己免疫疾患系の難病を発症。闘病をつづったエッセー「困ってるひと」が大きな反響を呼んだ。在宅療養をしながら執筆活動を継続。国の難病政策に患者の実態を反映させたいと大学院で研究にも取り組み、全国の難病患者からの聞き取り調査も進めている。

 大野さんは、特定疾患ではなく、今は医療費助成を受けていない患者にも数多く会っている。何とか仕事をしながら、医療費を支払ったり、家族に経済的に頼ったりしている若い患者は多い。「いつか特定疾患に指定されれば、と望みをかけてきた特定疾患以外の患者にとってもショックは大きい」と大野さん。「社会保障費を削減しなきゃいけないという漠然とした国民感情に依存し、患者の実態も調べず、制度のあり方も十分に議論していない」と強く反発している。 (小林由比)

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人