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認知症予防に裁縫で布絵本 施設通う2女性が優秀賞

(2013年10月27日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【石川】 この記事を印刷する

ナシ栽培の苦労を題材に

画像職員の吉田さん(中)と会話を楽しみながら、ぬいぐるみの作製に励む荒木さん(右)と荒谷さん(左)=金沢市涌波のリビングデイサービスで

 金沢市涌波の通所介護施設リビングデイサービスに通う荒木澄子さん(94)=同市大桑町=と荒谷あや子さん(93)=涌波=が作った布絵本が市内のコンクールで優秀賞に選ばれた。長年取り組んできたナシ栽培を題材に裁縫で仕上げた。ナシ作りの苦労を多くの人に知ってもらえる上、認知症予防として毎日続ける手作業が評価され、2人と施設職員らの励みになっている。(室木泰彦)

 20代半ばで終戦を迎えた荒木さん。戦後間もなく、シベリア抑留から帰った夫の「ナシやるまいか」という一言で栽培を始めた。約60年にわたって手掛け、息子に引き継いだ。荒谷さんも隣の畑で栽培し、ナシ作りの苦労をよく知っている。2人は週3〜5日デイサービスに通う。認知症の予防として東日本大震災の被災地へ送るぬいぐるみ作りなどに励む。その中で、同市のまちづくり研究会が行う「ひろさか手づくり絵本・紙芝居コンクール」に布絵本部門で挑戦することになった。

 題材は施設職員の介護福祉士・吉田望さん(30)=石川県野々市市=らと相談。ナシ栽培を始めた当時を思い出し題名を「梨やるまいか」に決めた。

画像ナシ栽培の経験を基に、出荷までの流れを手縫いで物語に仕上げた布絵本の一部

 絵本は12ページ。1本の苗から木が育ち、花が咲き、実がなって収穫し、出荷するまでの様子を縫い付けた布で描く。台風やカラスから守り、害虫防止で消毒する苦労も紹介。絵本を読む子どもに興味を持ってもらうため、実に袋をかける作業を疑似体験できるよう袋を添えたページもある。

 荒木さんは戦時中、満州(中国東北部)で苦労した体験や、台風でナシの実が落ちたり積雪で枝が折れたりした苦い思い出を振り返りながら「平和でこうして絵本を仕上げ優秀賞に選ばれたのは夢のよう。ありがたい、ありがたい」。「私はなんもやってない。荒木さんが作ったんや」と謙遜する荒谷さんだが、栽培の様子を職員に説明し絵本作りに貢献。他の通所者と協力して仕上げた。

 施設最長老の2人が元気に裁縫に励む様子を見守る吉田さんは「施設全員の励みになります」と話す。コンクールは今回、最高の最優秀賞がなかった。表彰式は27日、金沢市の箔一広坂ビルである。

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