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認知症の介護に知恵 ますずがわ神経内科クリニック 真鈴川聡さん 

医人伝

(2013年11月19日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

医療と介護の橋渡し役 院長 真鈴川聡さん(48)

画像高齢者向けの健康講座で、会場からの質問に答える真鈴川聡(ますずがわ・さとし)さん

 「認知症の人は、この世とあの世の間で生きています。(困った行動に対して)怒っても通用しません。それより、お菓子で忘れてもらいましょう」

 「休んで治るのは若い人。お年寄りは、なるべく体を動かしましょう」

 三重県鈴鹿市で開かれた高齢者向けの健康講座。くだけた表現に思わず会場が沸いた。2006年に神経内科の医院を開業後、県内各地域で講演を続けている。病気や健康に対する人々の意識を高めることが、結果的に医療や介護の質を底上げし、患者の豊かな生活につながると考えるからだ。

 地域で暮らす患者へのケアもきめ細かく、厚い信頼を得ている。医院には県内外から、認知症患者だけでも約400人が通院する。心がけているのは家庭の環境づくりだ。

 認知症の患者を追い詰める要因の1つに、「どうして、これができないの」という家族の思い入れがある。「それが無駄であることを、まず身内が理解し、悟り、あきらめることから」と話す。その上で、患者本人の病状や生活の様子だけでなく、介護に関わることができる人の家系図を作成。介護の負担が1人に集中しないよう助言し、介護サービスをうまく利用できるよう丁寧に働き掛ける。

 「介護する家族も短時間なら、お釈迦(しゃか)様のように頑張れる。限界を把握し、デイサービスやショートステイなどを活用してもらっています」。こうして、周囲の無理解で認知症患者が追い詰められ、介護者も疲弊していく悪循環を脱し、救われた患者や家族は多い。

 三重大医学部を卒業後、神経内科の分野に進み、1990年から十数年、鈴鹿中央総合病院や県立志摩病院などに勤務。難病患者も数多く担当し、専門性を磨いた。しかし、勤務医では、病気と付き合わなければならない患者の生活までケアする余裕は少ない。「最後までサポートするのが本来の医師の務めでは」と考え、開業した。

 認知症のほか、パーキンソン病やてんかんなどの神経疾患、難治性の頭痛や生活習慣病の診断と治療にも力を入れる。勤務医経験を生かした、中核病院との密な連携が強みだ。「医療と介護の橋渡し役として、患者に寄り添っていきたい」と語った。(林勝)
ますずがわ神経内科クリニック(三重県鈴鹿市)

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