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緑膿菌 抗生物質使わず増殖抑制 名大など成功

(2014年2月5日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

殺菌法開発に期待

緑膿菌の増殖を抑える仕組みのイメージ

 名古屋大大学院などの研究チームが、肺炎など感染症の原因になっている緑膿(りょくのう)菌の増殖を抑えることに成功した。緑膿菌は抗生物質などへの抵抗力が強く、投与した薬剤が効かなくなる特徴がある。院内感染などへの対策が課題となる中、抗生物質を使わずに緑膿菌を殺菌できる方法の開発につながることが期待される。

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 緑膿菌は、鉄分が欠かせない栄養素になっている。体内の緑膿菌は「HasA」というタンパク質を分泌し、赤血球内の鉄分をつかんだ上で、取り込んで増殖する。研究チームは、この鉄分と形が似たフタロシアニンという色素分子を、HasAがつかむかどうかを実験した。

 この結果、HasAは〝偽物〟のフタロシアニンを鉄分と同じように捕捉。そのまま緑膿菌の細胞内に入れようとするため、本来必要な鉄分を取り込むことができなくなった。

 試験管で2日間培養して緑膿菌の濃度を比べたところ、フタロシアニンを投与しなかった場合は300倍に増殖。投与した時は濃度に変化はなかった。

 今後はフタロシアニンを体内に投与した時の影響の研究や、緑膿菌を殺菌する手法の確立が課題となる。

 研究成果をまとめた論文は、ドイツ化学誌のオンライン版に掲載される。

 緑膿菌 動物の体内や水回りなどに生息する菌。複数の抗生物質が効かなくなった菌を多剤耐性緑膿菌という。湿った環境を好み、人工呼吸器などの装置やトイレに定着しやすい。効果のある薬が少なく、感染すると治療が難しい。健康な人には無害だが、高齢や病気で体力が落ち、免疫力が弱まると、肺炎や敗血症を引き起こし、死に至る場合もある。大阪府高槻市の病院では昨年、患者21人が院内感染し、うち11人が死亡した。

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