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カフェイン併用化学療法「再開を」 金沢大病院にがん患者家族

(2014年6月5日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

「命懸け」嘆願書提出

 金沢大病院(金沢市)の整形外科教授グループが臨床試験として実施したカフェイン併用化学療法に倫理指針違反があった問題で、入院患者の家族らが、現在中止されているこの治療法の再開を求めている。病院側は全容を解明した上で判断する方針だが、家族らはカフェイン併用を求める嘆願書を提出。「命を懸けて来ている。せめて保険の範囲でカフェインを使ってほしい」と切実だ。(医療問題取材班)

 「あと1ミリ腫瘍が大きくなったら足を切らないといけない、(がんが)転移するかもしれないという不安を抱えている」。骨肉腫治療のため今年1月から、中学1年の長女(12)が入院している父親(30)は訴える。

 東京都内の病院で治療を受けていたが足の切断を示唆され、セカンドオピニオンを求めて昨年12月に金沢大病院を受診した。教授から、高用量のカフェインを抗がん剤と併用し、切断せずに完治を目指すカフェイン併用化学療法の説明を受け、転院を決めた。

 だがこのころ、院内の倫理審査委員会が承認した期間を過ぎた後も、教授らがこの治療を継続していたことが判明。同月末にこの治療法は中止された。父親は教授と相談の上で、本来強心利尿薬のカフェインを保険適用の範囲内で抗がん剤と併用すると決めた。

 4月までに計6クールの治療を受け、腫瘍は順調に縮小した。だが同月下旬に病院はこの治療法に倫理指針違反があり、調査委員会を設けて調べると発表。直後にカフェイン併用は完全に中止され、治療は抗がん剤のみになった。

 父親は「生存率が上がると望みを託して東京から来た。娘も効くと信じて頑張ったのに」と戸惑う。病院側の説明を求めたが回答がなく、5月中旬にカフェイン併用を求める嘆願書を1007人分の署名を添えて提出。同26日に、副院長から調査委の報告を踏まえて再開の可否を判断すると説明された。

 長女の母親(30)は「せめて保険適用の範囲内でカフェインを使ってほしい。生死を懸けて闘っている患者の立場に立った判断をしてほしい」と求める。

 厚生労働省の東海北陸厚生局石川事務所によると、健康保険で承認された薬を本来の目的以外で使用することは「患者によって病状が異なり、一概に可否を判断できない」という。

 カフェイン併用化学療法をめぐっては、骨肉腫の治療を受けていた少女=当時(16)=が2010年に死亡したのは抗がん剤の投与ミスの疑いがあるとして、教授ら3人が今年1月、業務上過失致死容疑で書類送検されている。

 カフェイン併用化学療法 骨肉腫など悪性骨軟部腫瘍に対し、抗がん剤にカフェインを併用投与する治療法。抗がん剤の効果を高めるのが目的。カフェインは強心利尿薬として保険適用されるが、この治療法では保険の範囲を超えた高用量を用いる。厚生労働省の先進医療に位置付けられ、2007年度以降は有効性や安全性を確認する臨床試験として実施された。

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