つなごう医療 中日メディカルサイト

病気の親を助け孤立防ごう 精神障害者家族の支援団体が集い

(2014年6月7日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

情報共有や課題で意見交換

画像全国から精神障害者の子育てなどを支援する人たちが集まった情報交換会=名古屋市中区で

 子育てをする精神障害者の支援や、精神障害の親がいる子の支援をしている団体のメンバーが先月、名古屋市内で集まり、支援の課題などを話し合った。呼び掛け人の鈴鹿医療科学大看護学部准教授土田幸子さん(精神看護学)によると、精神障害者の子の支援に絡む団体が一堂に会するのは、おそらく全国初という。土田さんは「何らかの形で2回目を開きたい」と話す。(佐橋大)

 「情報交換会」には、北海道から広島県まで、全国15団体の44人が参加した。

 会に出席し、精神科訪問看護などのサービスを提供している東京都立川市のNPO法人、多摩在宅支援センター「円」理事長の寺田悦子さんによると、精神疾患のある親は、病気ゆえに対人関係がうまくいかず、子育てで苦労する人が少なくない。「自分のせいで子どもがつらい思いをしている」と自分を責める親と、親の病気に振り回される大変さを他の人に言えず、孤立する子。双方に目を配った支援が必要という。

 会場では、各団体が取り組みを紹介した。

 精神障害者らが昆布の加工・販売などをし、一緒に生活している北海道浦河町の地域活動拠点「べてるの家」の創始者、向谷地生良(むかいやちいくよし)さんも駆けつけ、べてるの家などが取り組む子育て支援を説明した。

 べてるの家では精神障害者同士の恋愛も活発で、子をもうける当事者は多い。精神疾患で自虐的に自分を追い込み、子育てに苦労するメンバーもいる。そうした人を支援するため、浦河町では、べてるの家や病院、保健所、学校の連携が緊密になった。個別のケースごとに関係機関が集まる「応援ミーティング」が月1度あり、障害者本人も同席して解決策を探る。

 子育て経験のある地域の主婦を交え、子育てに苦労する障害者らが集まる定期的なミーティングもある。親として社会参加する難しさなどを話し合い、より良い物事のとらえ方や意思疎通の方法を考え、練習する。いずれも、親を助けることで、子どもを間接的に支援しようという考えだ。

 円も、子育てで苦労する精神障害の親を対象に、ミーティングを開いている。専門職を交えて、悩みを打ち明け合うことで、苦労しているのは自分だけでないと孤立感が和らぐ。同時に、子どもは別室で遊び、心の負担を軽くする。ミーティングで出た課題を訪問看護に生かすため、スタッフによる会議も開いている。

 土田さんが世話人代表を務める「親&子どものサポートを考える会」は、津市で、精神障害の親のいる成人が集う交流会を毎月開いている。親の病状に合わせて生活するうちに、自分を大事に思えなくなったなど、子の立場ゆえの経験を話し合う。類似の体験談を聞くことで、心のわだかまりを解消する人もいる。

 意見交換では、行政や一般市民との連携が課題といった意見が出された。子を支援する児童養護の部門と精神保健の部門など、行政機関内での連携もないといった指摘もあった。

 土田さんによると、参加者からは「同じ問題意識を持つ人がたくさんいると知り勇気づけられた」「親子の支援という切り口でネットワークができれば」との感想が寄せられた。

 土田さんが昨年9月に視察したドイツでは、精神障害の人の子の支援に関わる100近くの機関がネットワークを形成。年に1度集まり情報交換をしている。国内でも、親や子の支援をする団体があり、それらが情報を共有することが有効と考え、会の開催を呼び掛けた。土田さんは「これをきっかけに、精神障害の親とその子の支援が必要という認識が、社会に広がれば」と話した。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人