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愛知の病院〈128〉 福祉村病院 豊橋市

(2014年6月14日) 【中日新聞】【朝刊】【愛知】 この記事を印刷する

認知症予防に脳ドック

画像認知症予防脳ドックで運動機能の検査を受ける女性=豊橋市野依町で

 「今から言う言葉の組み合わせを覚えてください。相撲・行司、心配・苦労、すし・弁当、夕刊・号外…。では、心配のペアは?」

 「えーっと、あれっ」

 4月から始めた「認知症予防脳ドック」。臨床心理士の問い掛けに、「もの忘れが気になる」という70代女性が答えに窮する場面があった。

 動脈瘤(りゅう)や脳梗塞の発見を主な目的にする通常の「脳ドック」と違い、脳の状態や働きを多角的に調べて認知症の兆候を見つけるのが狙いだ。

 メニューは2時間半ほど。記憶力や前頭葉の働きなど臨床心理士による脳の「高次機能検査」、理学療法士による握力、重心、歩行などの「運動機能検査」、脳の萎縮や血管の状態を調べる「磁気共鳴画像装置(MRI)検査」、血液検査などがある。

 認知症は、原因の3割が脳血管障害、7割が原因不明の脳萎縮とされる。アルツハイマー病は、発症の10年以上前から脳の中で変化が始まっているという。

 動脈硬化など脳血管障害につながる生活習慣の改善、弱った脳の働きの訓練など患者に合った予防法を提案する。

 もともと、脳卒中患者の寝たきりを防ぐためのリハビリや介護に力を入れてきた。高齢化社会が進むのに合わせ、より専門性を高めてきた。

 リハビリは理学療法士と作業療法士、臨床心理士、看護師、介護士らがチームで対応する。言語や食べ物を飲み込む力、歩行など体の機能改善のほか、木工や農業、音楽など患者の趣味に応じた独自プログラムを設定。「表情が穏やかになる」「口数が増える」「トイレの場所が分かる」などの改善がみられるという。

 榊原利夫リハビリ部長(51)は「普段は介護が大変な方でも、大工仕事になると真剣な表情を見せたり、包丁さばきがすごかったりと、生き生きしてくる。時間をかけて的確なアプローチをすると良い反応がある」と話す。

 研究の拠点も担う。認知症は10種類以上のタイプがあり、病理解剖しないと確定診断ができない。長寿医学研究所や神経病理研究所を併設し、600症例以上の凍結脳サンプルを基に国内外の大学や施設と共同研究する。

 神経病理研究所の橋詰良夫所長(69)は「専門性の高いスタッフが充実し、早期発見と進行を抑える適切な治療、終末期ケアまでオールラウンドに取り組めるのが強み」と語る。(小椋由紀子)

自立に向けた医療

 山本孝之理事長の話 自立して自由に生き、周りの人の役に立てることが人間の幸せ。認知症や脳卒中、高次脳機能障害の患者が、超高齢化社会に向かう中でますます増えている。きめ細かな地域連携のネットワークの下、寝たきりにさせない工夫や社会復帰のためのリハビリなど、今後も自立に向けた医療や福祉活動に取り組みたい。

 福祉村病院 ▽1962年創立。医療療養261床、介護療養226床▽内科、神経内科、老年内科、精神科、老年精神科、皮膚科、リハビリテーション科▽常勤医12人、非常勤医13人、理学療法士7人、作業療法士6人、言語療法士2人、臨床心理士1人▽豊橋市野依町山中19の14▽豊橋駅から豊鉄バス豊橋技科大線「福祉村」まで約30分▽電0532(46)7511

画像福祉村病院

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