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遺伝子診断で解析拠点

(2014年7月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

藤田保健衛生大 来月にも本格運用

 高度化する遺伝子解析技術を診療の現場で活用するため、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)は大学内に「疾患遺伝子網羅的解析センター」を開設し、8月にも本格運用を始める。病院と連携して診断が難しい症状を遺伝子検査で特定したり、未解明の先天性異常などの原因遺伝子を探る研究を進める。病院と密接に連携した解析拠点は全国的にも少なく、遺伝子診断の拡大が期待される。

 遺伝子検査は、乳がんなど原因遺伝子がはっきりしている疾患の将来的な発症リスクを調べられるほか、筋ジストロフィーなど遺伝子異常との関係が明白な病気なら、他の手法で診断が難しい場合にも病気の特定ができる。かつての検査は解析能力が低く、原因遺伝子が分かっている病気で特定の遺伝子に狙いを定めて調べても、特定できないことがあった。

 現在は解析能力が向上し、2万〜3万個ある人間の遺伝子すべてを1度に解析できる装置が増加。全遺伝子から異常がある部分を抽出するため、これまでの検査で原因が見つからなかったケースでも、原因遺伝子を特定して治療につなげられる。こうした新型装置は、国内では植物や動物などさまざまな遺伝子の解析に使われるケースが多く、医療現場に専属する形での設置は少なかった。

 同大は1度に8人分を検査できる新型装置1基を導入し、解析の専門家を配置して試運転を始めている。単一遺伝子の異常が原因と分かっている疾病は、筋ジストロフィーや大腸がんの一部など数千種類あるとされるが、実際に原因遺伝子を特定できているのは半分ほど。センターでは未解明の遺伝子も調べていく。担当する倉橋浩樹教授(臨床遺伝学)は「検査目的とは別の異常が見つかる可能性があり、いかに伝えるかといった問題も出てくる。検査の前後にカウンセリングをして支援しつつ、進めていきたい」と話している。

制度設計を急ぐ必要

 東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟教授の話 原因遺伝子を特定すれば、例えば大腸がんでも肺がんの薬が効きやすいなど有効な治療を見いだしやすい。日本ではごく一部でしか臨床で活用されておらず、欧米と比べ遅れている上、差が広がる一方だ。検査コストは急激に下がっており、日本も活用促進に向けた解析できる人材の育成や、遺伝子疾患による差別禁止など制度設計を急ぐ必要がある。

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