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糖質オフで食楽しむ

(2014年12月23日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

カロリー制限つらい糖尿病

画像糖質を気にする消費者の支持を得てヒット商品となったローソンのブランパン

 血糖値を抑えたいが、食事の楽しみを失いたくない−。カロリー制限にストレスを感じている血糖値が高めの人や、2型糖尿病患者のための、糖質を抑えたメニューや食材が増えている。従来は脂肪の摂取量を抑える栄養指導が一般的。だが、糖質制限による健康維持効果を明らかにする研究が増えており、今後、食事療法のあり方が変わる可能性もある。(林勝)

 「運動してもだめだったのが、糖質を控えると血液検査値が改善した」。糖尿病の指標(HbA1c値)の上昇に悩んでいた名古屋市内の男性(65)は昨年3月、糖質制限の本を読んだのを機にご飯やパン、麺類、砂糖を控えた食事に変えた。代わりに肉や魚、卵、大豆食品など、タンパク質や脂質の多い食品を総カロリーを気にせず食べた。

 指標は数カ月で正常範囲に。脂質を以前より多く摂取しているのに中性脂肪の値は半減。「カロリー制限では生きがいを感じられなかった。今の食事なら続けられる」と、男性は自信を深めている。

画像ケーキまで食べても血糖値が大幅に上がらないよう糖質量を抑えたディナーコース=名古屋市中区で

 名古屋市中区のフランス料理店「ラポルトマルセイユ」は、低糖質のディナーを提供。大豆粉を使い、パンの代用となるスフレやケーキを考案した。前菜、肉、魚料理まで食べても、全糖質量は食パン1枚に満たない。オーナーの森安美月さんは「糖質制限でも、食を楽しめることを知ってほしい」と話す。

 コンビニ大手のローソンは2年前、低糖質の「ブランパン」を発売。主に小麦のふすま粉を使い、糖質量を通常の3分の1程度に抑えた。「当初はほとんど売れなかった」と開発担当の鈴木嘉之さん(48)。多くの店舗で一時は商品棚から消えたが、「糖尿病でパンを諦めていた女性の訴えもあり、使命感を覚えた」という。食感や味を追求し、今では種類も増えてヒット商品に成長した。今後、低糖質食品を総菜や麺類などにも広げる方針だ。

 低糖質麺が作れる製麺機を開発したフィリップス・エレクトロニクス・ジャパンは今秋、糖尿病患者300人から食事療法に関するアンケートを回収。6割が食事制限の挫折を体験していた。主な理由は「食事量の少なさ」「カロリー計算が面倒」「主食が食べられない」だった。

 日本糖尿病学会は、患者に合わせて1日のカロリー摂取量を制限し、その50〜60%を糖質で取るように勧告している。一方、低糖質への関心の高まりから昨年3月、(この値も含め)適正な糖質摂取量が未確立で、研究課題と認める発表をした。北里研究所病院(東京都港区)の山田悟・糖尿病センター長は「患者の好みを基に、医師の裁量で糖質量の変更を認めた点が評価できる」と指摘する。

 山田さんは糖尿病患者の糖質制限の有効性を報じる海外論文を多数調査。自らも日本人患者を対象に、糖質制限(糖質量1食20〜40グラムかつ1日70〜130グラム)と、従来のカロリー制限に分けた無作為比較試験をし、論文発表した。糖質制限グループはカロリー、脂質、タンパク質摂取が無制限だったが、HbA1cや中性脂肪が有意に改善した。脂質摂取が増えると動脈硬化が進むという従来説を否定する内容だ。

 「学術的な事実の積み上げが大切だが、どの程度の糖質制限を許容するかを、学会として早急に明らかにすべき時機に来ている」と山田さんは訴えている。

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