つなごう医療 中日メディカルサイト

愛知の病院〈137〉 名古屋大病院 名古屋市昭和区

(2014年12月27日) 【中日新聞】【朝刊】【愛知】 この記事を印刷する

多様な先進医療提供

画像多職種で小児がんの子どもの治療やケアについて話し合うトータルケアワーキンググループの月例会=名古屋市昭和区の名古屋大病院で

 「もう、病気は大丈夫ですね」

 名古屋大病院小児科の診察室で、高橋義行准教授(47)は女子高生とその母親に「完治」を告げた。

 病気は小児がんの中でも治療の難しい「神経芽腫」。女子高生は小学4年の時に発病。地元の病院から名大病院に紹介されたときは既に全身の骨にも転移があり、通常の手術と抗がん剤による治療では、生存の可能性は数%だった。

 高橋准教授は従来の治療に加え特殊な臍帯血(さいたいけつ)を移植し、その中の免疫細胞ががんを殺す新しい治療を臨床試験として実施。がんはすべて消え、「完治」の目安となる5年を過ぎても再発しなかった。

 小児がんは症例数が少なく、治療が極めて難しい。同病院は2013年に全国の「小児がん拠点病院」に認定。選ばれた15施設の中で、全国トップの評価を受けた。

 中でも臨床研究の実績は群を抜く。冒頭の治療法は08年に同病院が全国で初めて取り入れ、これまで臨床試験で15例を実施。いずれもがんは再発していない。小児科の小島勢二教授(64)は「従来の治療で治らない患者をどうしたら助けられるか。それがわれわれの使命」と話す。

 昨年10月に小児がん専門の治療センターを設置。医師や看護師だけでなく、児童精神科医、臨床心理士、管理栄養士らによる多職種のチームで対応している。つらい治療に立ち向かえるよう6歳以上の全患者に病名を告知しており、患者や親の心理面を含めた支援も徹底。専門教育を受けたチャイルド・ライフ・スペシャリストが2人常駐し、入院中の子たちに寄り添う。

 小児がんだけでなく、国際水準の質の高い臨床研究や難病などの治験を進め、実用化につなげる国の「臨床研究中核病院」にも選定され、さまざまな先進医療を提供。最先端医療と研究の体制を強化するため、放射線治療や抗がん剤治療の機能などを充実させる新病棟建設も計画している。

 地域医療にも力を入れ、4月に名古屋市東区の名古屋逓信病院内に在宅医療の拠点「地域包括医療連携センター」を設置。在宅医療に詳しい老年内科の医師2人を2年間出向させ、地域の医療機関の連携を強化している。(山本真嗣)

少子高齢化に対応

 石黒直樹院長の話 少子高齢化が進む中、子どもや高齢者に対応した医療は非常に重要。現在の医療はもちろん、次世代の医療の開発に向け、基礎研究を臨床につなげる医師主導型の治験や人材育成に力を入れていく。名大病院には先端医療を開発する環境が整っている。中部地区の医学、医療の中心として地域に貢献し、世界にも情報発信していく。

 名古屋大病院 1871(明治4)年、名古屋藩評定所跡に公立の仮病院として創設▽1035床▽診療科 34科▽常勤医 343人、非常勤医320人▽名古屋市昭和区鶴舞町65。JR中央線「鶴舞」駅下車徒歩3分▽052(741)2111

画像名古屋大病院

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人