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信州の病院〈53〉 下伊那赤十字病院のみこみの専門外来 松川町

(2015年3月3日) 【中日新聞】【朝刊】【長野】 この記事を印刷する

嚥下障害治療を発信

画像患者のあごを押さえながら、飲み込む様子を確認する細田医師(奥中)と認定看護師の石原さん(同右)=松川町の下伊那赤十字病院で

 バリウムを混ぜたゼリーを松川町の男性(85)が飲み込む姿が画面に映し出される。ゼリーはゆっくりと食道へ流れていくが、少しのどに残った。男性が水を飲むと、きれいに流れていく。「水分で流した方がのどにひっかからないですね」。細田昌良医師(49)=第二内科部長=が笑顔で語りかけた。

 男性はのどの残留感や呼吸困難を訴えて、専門外来を受診。検査の結果、男性の場合は軟らかい食べ物の方が飲み込みにくいことがわかった。検査後に家族を呼び、食事の硬さや姿勢、一口食べた後に水を一口飲むことなどをアドバイスした。

 厚生労働省が発表した2012年の死因別死亡率で、肺炎はがん、心臓病に次いで3位だった。肺炎で死亡した人のほとんどが65歳以上の高齢者。中でも、飲食物や唾液が気管に入って炎症を起こす誤嚥(ごえん)性肺炎の患者が多いことから、同年1月に呼吸器専門医や看護師らでつくる「摂食・嚥下(えんげ)チーム」を院内に設置した。

 中心メンバーの看護師石原佳代子さん(28)は、摂食・嚥下障害の専門的な知識と技術を持つ認定看護師に、飯田下伊那で初めて合格。「介護施設で働く人たちにも入所者の嚥下障害に早く気付いてもらいたい。安全においしく食べられるよう、この地域から発信したい」と意気込む。

 4月の本格運用を目指し、昨年10月から週1日、完全予約制で外来の試験運用が始まった。これまで75〜85歳の6人が受診した。筋力の低下、脳の病気によるまひ、薬の影響など嚥下障害の原因はさまざま。症状に応じて、歯科や耳鼻咽喉科、呼吸器科などと連携しながら、義歯の装着や食べる時の姿勢の指導、飲み込み方の訓練などを実施していく。

 「口から食べることは人生の楽しみの一つ」と細田医師。「食事の際にせきこんだり、のどにひっかかったりする人の相談場所として利用してほしい」と呼びかけている。(石川由佳理)

肺炎になる前に

 細田昌良医師の話 誤嚥性肺炎は、再発する可能性が高い。肺炎になってから治療するのではなく、その前の段階で発見、治療することで、少しでも自分の口で食べられる時間を延ばしたい。

 下伊那赤十字病院のみこみの専門外来 ▽沿革 2014年開設▽医師1人、看護師1人▽診察 火曜日午後1時から(予約制)▽松川町元大島3159の1▽JR飯田線伊那大島駅から徒歩8分▽電話0265(36)5566=地域医療連携室

画像下伊那赤十字病院のみこみの専門外来

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