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食生活や飲酒が影響

(2015年6月9日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

大腸がん

 40代から発症者が増える大腸がん。5月下旬には俳優の今井雅之さん=享年54=が大腸がんで死去した。患者は増加しているものの、早期発見により治せるがんでもある。国立がん研究センター中央病院(東京)大腸外科医長の志田大(だい)さん(44)に予防法や対策を聞いた。(砂本紅年)

 国立がん研究センターの予測によると、今年新たに大腸がんと診断される人は13万5800人。これまでは胃がんや肺がんが多かったが、今年初めてすべてのがんの中で最多になる見通し。「この傾向はしばらく続くでしょう」と志田さん。大腸がんで死亡する人も、女性で1位、男性も肺、胃に次いで3位になるという。

 日本人の大腸がんは半世紀前と比べ約8倍になった。主な原因は、欧米化した食生活と高齢化とされ、「生活習慣病の一つと言っても過言ではない」。予防法や対策も同様のものになる。

大腸がんとの関連(国際評価)

 世界がん研究基金などの報告によると、大腸がんと食事との関連は深い。

 リスクを確実に高めるのは、牛肉や豚肉など「赤肉」と呼ばれるものや、ソーセージやハムなどの加工肉。飲酒は1日ビール900ミリリットル(大瓶約1本半)、またはワイン400ミリリットル(グラス約2杯)を飲む人は発症リスクが2倍に。さらにその2倍を飲むような人は、発症リスクが3倍に跳ね上がる。喫煙、肥満もリスク因子。やせすぎもよくない。

 予防に確実に良いとされているのは適切な運動。1日1時間のウオーキングと、息がきれるぐらいの運動を週に2日、30分ずつするのが理想だ。

 ただ、生活習慣を整えても発症することはある。進行がんでも症状があまりないことが多いため、40歳以上は血便を調べる便潜血検査(検便)が早期発見の近道だ。

 検便は受診率が低い上、陽性となった人の6〜7割しか精密検査をしていないことも課題となっている。「日本の便検査は非常に鋭敏。痔(じ)(で出血)のある人でも軽く考えず、陽性になったら毎回必ず精密検査を受けて」と志田さん。

 精密検査は、肛門から内視鏡を入れる内視鏡検査。最近は、大腸のコンピューター断層撮影(CT)である「CTコロノグラフィー」など比較的楽な検査もあるが、病変が疑われると、これらの検査では診断できず、あらためて内視鏡検査が必要になる。

「早期発見がすべて」

画像大腸がん検査の大切さを説く清水浩司さん=神奈川県内で

 ある夫婦の実話を描いた公開中の映画「夫婦フーフー日記」は、大腸がん患者の闘病ブログから生まれた。

 2009年、結婚1カ月後に妊娠が分かった「ヨメ」は、5カ月後にステージ(病期)3の直腸がんと判明。帝王切開で男児を出産後、抗がん剤や手術など闘病に専念するが、翌年38歳の若さで亡くなった。

 共感を呼んだのは、深刻な状況の中でも笑いや明るさを忘れない夫婦の姿。育児や看病などでヨメを支え続けた「ダンナ」の清水浩司さん(43)=広島市西区=は「深刻な状況だからこそ、面白いことを見つけたり、笑い飛ばしたりしたかった。映画の観客の中から笑い声が聞こえた時はうれしかった」と話す。

 大腸がんについては「早期発見がすべて。なるべく検査を受けてほしい」としつつ、「今はさまざまな治療があり、がん宣告を受けても終わりじゃない。見守る周りの人も抱え込まないで」と呼び掛けている。

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