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「チームで即応」が身上 名古屋市立東部医療センター 長谷川千尋さん

医人伝

(2015年6月9日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

MERSなどの危機に備える 感染症科部長 長谷川千尋さん(52)

画像「感染症との闘いは永遠」と話す長谷川千尋(はせがわ・ちひろ)さん

 10床ある感染症病床の責任者。マラリアやデング熱など、海外から持ち込まれる感染症に対応しつつ、新型インフルエンザや中東呼吸器症候群(MERS)などの危機に備える。

 2年前の夏、アフリカから帰国して間もない50代男性が、意識不明で搬送されてきた。重症マラリアで生命が危ぶまれる状態。国内での症例はほとんどなく、熱帯病治療薬を研究する医師たちに問い合わせても、有効な治療法が見つからない。

 呼吸器、消化器、循環器、神経、腎臓など、院内各科のレジデント(後期研修医)たちが自発的に集まってきた。その1人が「ステロイド治療が有効」という論文を見つけ、使ってみると快方に向かい、後遺症もなく退院できた。

 「乏しいデータの中であれこれ検討しながら、チームで治療していく醍醐味(だいごみ)を感じました」と振り返る。

 海外との行き来が盛んな時代になって、「輸入感染症」と呼ばれるマラリア、デング熱などの熱帯病も増えてきた。薬の効き方は人種によって違うため、一つ一つの症例を丁寧にまとめ学会報告や論文にすることを心掛けている。

 「医学が進んでも、感染症との闘いは永遠に続く。日本のように清潔な社会は、感染症に弱い。隔離などの対策をしっかりするにはお金もかかるから、国民の理解を高めていかないと」。各国で標準的に使われる治療薬が、国内では症例不足のために未承認になっている例もあり、研究者の間にも危惧がある。

 名古屋市出身で、名古屋市立大卒。胆のう、膵臓(すいぞう)などを専門とする消化器内科医として経験を積んできた。2009年に名古屋市立東市民病院(現・名古屋市立東部医療センター)の消化器内科に赴任し、翌年から感染症科と兼務する。

 消化器内科は同病院で最も患者数が多く、緊急の内視鏡治療などもあり多忙な部署。感染症科でも、中部地方の各地の病院から、治療法などの相談をしばしば受ける。突発的な事態に対応できるように「仕事は集中的に。1人で抱え込まず、チームで」がモットーだ。

 趣味は、チェロ。大学時代に熱中し、卒業後は長く遠ざかっていたが、40代になってから再び火が付いた。母校OBでつくるオーケストラに入り、年1回の公演に向けて腕を磨いている。(編集委員・安藤明夫)

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