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原爆症 却下取り消す 一宮の男性提訴 国が異例の認定

(2015年10月24日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 原爆症の認定申請の却下処分取り消しを国に求めて係争中の愛知県内の男性について、厚生労働省が処分を取り消し、原爆症と認定したことが分かった。国が自ら却下を取り消す例は珍しく、弁護団は「訴訟を闘っている全国の原告の励みになる」と評価している。

 認定を受けたのは、同県一宮市の森敏夫さん(90)。広島市で通信兵として従軍中に爆心地から1.5キロの兵舎で被爆。後年、両眼に白内障を発症した。2005年に原爆症認定を申請したが却下され、異議申し立ても棄却。11年、同県内の3人とともに名古屋地裁に提訴した。

 森さんは本紙の取材に「認定は当然だと思うが、戦後70年たってようやくでは遅すぎる。全国の訴訟の原告も早く認めてほしい」と話した。今回は申請前に手術した左眼のみの認定で、今後も右眼の認定を求めて訴訟は継続するという。

 原爆症の認定申請を却下された被爆者による集団訴訟では、国の敗訴が続いた。厚労省は08年と13年に認定基準を改定。心筋梗塞など非がん疾病は爆心地から2キロ以内、白内障は1.5キロ以内で被爆した人などを積極認定するよう見直した。

 全国弁護団連絡会によると、13年の改定直後、新基準に基づく却下取り消しはあったが、以降では異例だという。訴訟は約80人が名古屋や東京、大阪など全国8地・高裁で係争中で、広島地裁は今年5月、新基準で初めて、白内障を原爆症と認定する判決を出した。同連絡会の中川重徳事務局長は「広島の判決の影響もあるのではないか」と話した。

 厚労省は「個別の認定状況や理由は答えられない」としている。

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