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【ふくい発掘】県立病院 7対1看護に移行

(2016年2月22日) 【中日新聞】【朝刊】【福井】 この記事を印刷する

新人教育に明暗 ベテランとペアで成果 病床数削減の可能性も

画像昨年4月から看護師が増えた病棟。新人教育が課題になっている=福井市の県立病院で

 県立病院が1月から全病棟で、入院患者7人当たり看護師1人を配置する「7対1看護」に移行した。2人1組で業務する「パートナーシップ・ナーシング・システム」(PNS)も導入。看護が手厚くなった一方、現場では、急に増えた新人の教育など課題や懸念も抱えている。(高橋雅人)

 一人の看護師が患者の容体を観察し、もう一人がパソコンに打ち込む。「7対1」への移行で、昨年4月に22人から29人に増えた病棟。PNSで新人と組む6年目の女性看護師(33)は業務の変化をこう話した。

 「患者さんの体の向きを変えるのも2人なら丁寧にできる。今まではナースコールで対応していたのも病室まで見に行ける。スタッフは多くいた方がいいです」

 06年の診療報酬改定で、「10対1」よりも高い入院基本料が得られることになった「7対1」。全国で主流となる中、県は人件費増を理由に移行を渋ってきた。4年後の導入を表明したのは12年。当初は4年間かけて看護師を増やす計画だったが、準備に時間がかかり、ここ2年で一気に85人を増員せざるを得なかった。

 しわ寄せは現場に来る。看護師の3人に1人が経験年数3年未満となるのを見越し、看護の質を維持するために始めたのがPNSだ。13年度にモデル病棟を立ち上げ、本年度から全病棟で取り入れた。

 木村八重子看護部長は「始めた当初、ベテランはつらかったけど、今は助かっている」と説明。新人で辞めた看護師はおらず、PNSは一定の成果を挙げているとも言える。

 しかし、現場には違う見方もある。冒頭の看護師は「教えるのは大変。一人でやった方が楽なこともある。新人にとってはいいけど…」と苦笑。別の女性看護師も「ペアだと先輩に依存する。PNSが始まったから新人が育たない」と明かす。

 新人が育ったとしても懸念は消えない。「7対1」は医療費の増大につながるため、厚生労働省は14年度から「7対1」の病床数削減に着手。16年度の改訂でも高い入院基本料が得られる条件を絞り込む見込みだ。

 10年遅れで導入したばかりの県立病院も例外ではない。3月末までにまとめる今後5年間の「中期経営改革プラン」では、病床数の削減も視野に入れる。せっかく増やした看護師を減らす事態にもなりかねない。

 「7対1」には、導入が決まった時点で現場には「何を今更」との声もあったという。木村看護部長は「7対1でも夜中に絶対数がいるわけではない。看護師を減らすのはあり得ない」と懸念を示し、県の動きを注視している。

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