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進む性暴力被害者ケア 相談、診察、法律・・・幅広く 全国に支援センター

(2016年2月23日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

 性的暴行や強制わいせつなどの性暴力被害に遭った女性たちを、支援するセンターが全国各地に設立されている。中部地方でも相次いで設けられ、望まない妊娠の防止や感染症の治療などの医療だけでなく、精神的なケアや法律的な対応の支援など、さまざまな側面から継続して被害者を支えている。(稲熊美樹)

 今年1月、名古屋市に開設された「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」。開設から1カ月半だが、性的暴行による被害など深刻な内容も含み、数多くの相談が寄せられている。

 24時間態勢で365日、専門の研修を受けた性暴力被害者支援専門看護師「SANE(セイン)」と支援員が、部屋で交代で2人ずつ待機し、電話や来所での相談を受け付けている。同じフロアには専用の診察室もあり、必要があれば同院の産婦人科医が診察。性感染症の検査をしたり、緊急避妊薬を処方したりする。特に、緊急避妊薬は早く服用するほど避妊効果が高く、行為から72時間以内に服用することとされている。カウンセリングによる精神面の回復も手伝う。

 医療行為だけでなく、弁護士を紹介するほか、すぐでなくても女性が告訴する場合に備えて、医師が診察と同時に証拠を採取して保存することもできる。行政など他機関と情報を共有することで、被害者が何度も同じ話をしないで済むことも、大きな目的だ。

 構想からかかわってきたセインの長江美代子・日本福祉大看護学部教授は「相談は深刻で複雑。急性期の受け入れ態勢は整ったが、カウンセリングなど、中長期的な支援も充実させていきたい」と話す。被害者に多い心的外傷は、早期にかかわるとその後の症状を軽減させることができるという。

 中部地方ではここ数年、各地の医療機関などがこうしたセンターを設けている。2010年に大阪府松原市の阪南中央病院内に「性暴力救援センター大阪 SACHICO(サチコ)」が設立されたことが、きっかけの一つだ。性的暴行などに限らず、密室での性的ないたずらや配偶者からの性行為の強要など、これまで被害がわかりにくかったケースでも支援の成功例が報告されており、中部の各センターがサチコを参考に、被害者支援に乗り出した格好だ。

 滋賀県は、14年4月に「性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖(SATOCO、サトコ)」を草津市内の病院内に設立。専門看護師であるセイン5人が交代で携帯電話を持ち、24時間相談を受ける。相談の多くは夜間で、3分の1ほどが来院した。

 岐阜県は昨年10月、ぎふ犯罪被害者支援センターに運営を委託し「ぎふ性暴力被害者支援センター」を設立したが、場所は一定でない。電話やメールで連絡を受け、診察や面談が必要な場合、日中は岐阜市内で開業する女性産婦人科医が対応。夜間は、同市の県総合医療センターと同市民病院が1カ月交代で診察などの拠点となり、女性産婦人科医約20人が持ち回りで呼び出しを受けている。

 サトコのセインで南草津野村病院の寺田淳子看護部長は「県外からも電話がある。被害者にとって24時間受け付けていることは大事。ためらいもあるかもしれないが、まずは電話してほしい」と話している。

■中部各地の支援センター

県 センター名 拠点の住所 電話番号 受付時間

愛知 性暴力救援センター日赤なごや「なごみ」 名古屋市昭和区妙見町2の9名古屋第二赤十字病院内 052(835)0753 24時間365日

愛知 ハートフル・ステーションあいち 愛知県一宮市羽衣1の6の12大雄会第一病院内 0570(064)810 午前9〜午後8時(日祝日、年末年始を除く)

岐阜 ぎふ性暴力被害者支援センター 岐阜市藪田南5の14の12県シンクタンク庁舎内 058(215)8349 24時間365日

三重 みえ性暴力被害者支援センター「よりこ」 非公開 059(253)4115 午前10〜午後4時(土日祝日、年末年始を除く)

滋賀 性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖(SATOCO) 滋賀県草津市野路1の6の5南草津野村病院内 090(2599)3105 24時間365日

福井 性暴力救済センター・ふくい(ひなぎく) 福井市和田中町舟橋7の1福井県済生会病院内 0776(28)8505 午前8時半〜午後5時(土日祝日、年末年始を除く)

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