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胃ろうへの不安を解消 小川医院 小川滋彦さん

医人伝

(2016年3月8日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

小川医院(金沢市) 医院長 小川滋彦さん(56)

画像胃ろうの利点を訴える小川滋彦さん

 食べ物をのみ下すことができなくなった人の胃にチューブを通し、直接、栄養を送り込む胃ろう。「胃腸から自然に栄養を摂取できる。再び口から物を食べられるまでに回復する可能性もある」と、患者や家族に胃ろうの利点を説いてきた。

 胃ろうを知ったのは、勤務していた金沢大病院から市内の石川県済生会金沢病院に移り、消化器内科医長に就いた20年ほど前だ。教科書代わりになる資料はない時代。いち早く胃ろうを始めていた同僚から手術方法などを学んだ。手術を見学したり、学会で出会った胃ろうを研究する医師と情報交換したりして、知識を深めた。

 以来、1996年に父から小川医院を継いだ後も、広く胃ろうについて知ってもらう活動を続けている。胃ろうに関する医療者向けの教科書も日本で初めて書き、各地で講演した。

 2004年からは「金沢在宅NST経口摂取相談会」を毎月1回開催。市内の医師、看護師、管理栄養士ら約40人が参加する。在宅の患者宅を無償で訪問し、集まった症例に基づいて「食べやすい食事は?」「歯を治すにはどうしたらよいか」などと、参加者たちが各専門分野の知識を出し合って話し合い、患者にアドバイスを送っている。

 終末期医療では、「過度な延命」などと、胃ろうへの批判もある。しかし、「胃ろうを使わなければ生きられない人もいる。胃ろうを減らしたとしても、より不自然な延命もある」と言う。

 かつては中心静脈栄養(TPN)という、点滴の管を心臓近くに通す方法が主流だった。だが、TPNは体の負担が重く、感染症のリスクもあった。一方、胃ろうは入院せずに自宅でも療養できる上、感染症のリスクも低い。おなかに直径数ミリの穴を開けるのに、抵抗を感じる人も少なくないが「穴はピアスと同じ。チューブを抜けば、ふさがってしまう」と、患者に説明している。

 金沢大医学部の臨床教授も務め、後進の育成に力を入れる。「学生に教えるのは、診察には患者との会話のテンポも重要ということ」。患者が話しやすい雰囲気を作ることの大切さも伝えている。

 金沢市出身。学生時代からクラリネットが趣味。「主旋律を吹かせてもらえるのがうれしい」とほほ笑む。 (草野大貴)

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