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子宮頸がんワクチン提訴へ 副作用10代女性ら「薬害だ」 国と2社に賠償求め

(2016年3月31日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像記者会見で涙を流す、子宮頸がんワクチン被害者の女性たち。右端は望月瑠菜さん=30日午後、東京都港区で

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種を受け、全身の痛みやしびれなど副作用を訴える女性たちが、国と製薬企業2社に損害賠償を求める集団訴訟を7月までに起こすことを決めた。このうち17〜21歳の女性4人と弁護団が30日、東京都内で記者会見し「国が被害を拡大させた薬害問題だ」と主張した。

 ワクチンは国内で2009年12月に販売開始。厚生労働省によると、14年11月までに小中高生ら約338万人が接種を受け、2584人が副作用を訴えた。

 弁護団によると、この問題での提訴は初。4人を含め12人が既に提訴を決めており、弁護団は被害を訴える全国の女性たちにさらに参加を呼び掛け、東京、名古屋、大阪、福岡の4地裁で訴訟を起こす。

 2社はワクチンを製造販売したグラクソ・スミスクラインとMSD。国に対しては、ワクチンを承認して公費助成や定期接種の対象としたことが、安全配慮義務違反だと主張する。

 記者会見した4人は埼玉県の大学1年酒井七海さん(21)、同県平原沙奈さん(18)、奈良県の高校2年の生徒(17)、山梨県の高2望月瑠菜さん(17)。

 中学生の時に接種した生徒は、全身に激しい痛みやしびれを訴え、今も片道3時間以上かけて通院を続けており、「死にたいと思ったこともあった。普通の高校生活を送りたいのに、今の私にはできない。毎日がつらく、助けてほしかった」と涙ながらに訴えた。

 厚労省の専門部会は、副作用が注射をきっかけとした「心身の反応」とする意見をまとめた。その後、何らかの症状はあるが異常が見つからないことを表す「機能性身体症状」という用語に変えたが、理解は得られていない。ただ、審査で接種との因果関係が否定できないと判定されれば、医療費などが支給される。

 提訴方針について、厚労省は「内容を承知しておらず、コメントは差し控える」とした。

 MSDは「ワクチンは各国で承認を受けている。提訴されれば法廷で証拠を提出する」、グラクソ社は「詳細を把握していないのでコメントは控える」とした。

 楽しいはずの学校生活は大きく変わってしまった。子宮頸がんワクチンを接種後に全身の痛みなどの症状を訴える高校生らが30日、都内で記者会見し、学校に通うこともままならない現状を訴えた。「病気を予防する注射でなぜ、こんな体に」。思うように動かない体に将来への不安も募る。

 山梨県の高校2年望月瑠菜さん(17)はワクチンが無料で受けられると自治体から勧められ、小学6年の時に接種。「ほかのワクチンのように打たなければいけないものだと思っていた」

 中学1年から膝などが痛み始めた。高校入学後は治療や痛みなどもあり、通学が困難に。このままの体力では就職が難しいのでは、とも思い始めた。

 「悔しい。このワクチンを勧めた人たちには責任を取ってほしい」と涙ぐんだ。

 奈良県の高校2年の生徒(17)は「同じ被害者が出てこないように」との思いから原告になることを決意した。高校入学後、体のあちこちに次々と激しい痛みが出て数カ月にわたり入院。記憶障害もあり、中学校の卒業アルバムを見ても何も思い出せなくなった。「一番望んでいるのは、普通に学校に通うこと」だ。

 「副作用に対応する医療機関や行政機関が整備されていなかった」。埼玉県の大学1年の酒井七海さん(21)は、接種から3年がたち、ようやく適切な治療を受けることができた。大学に入学後も症状は進行し、手足も思うようには動かない。「たった何ミリかの液体で人生が変わってしまった。私たちの体を調べてもっと良いワクチンにしてほしい」

 埼玉県の平原沙奈さん(18)は体調不良のため途中で退席し、姉が思いを代読。「副作用のことは教えてもらえなかった。マイナスの話もして、本当に接種した方がよいのか、考えられるようにしてほしい」と訴えた。

子宮頸がんワクチンの経過

子宮頸がんワクチン 子宮の入り口付近にできる子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチン。HPVの50〜70%を占めるウイルス型に効果があり、筋肉注射で3回接種する。20〜30代の若い患者が急増し、小学6年から高校1年に相当する女子を対象に2013年4月から原則無料の定期接種となった。けいれんなどの副作用報告が相次いだため、厚生労働省は同年6月、接種を促すはがきを家庭に送るなどの「積極的な勧奨」を中止した。

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