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カテーテルで人工弁取り付け 開胸せず心臓止めず負担減 滋賀医科大病院が成功

(2016年4月29日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する
人工弁取り付けに成功した大動脈弁の位置

 滋賀医科大病院(大津市瀬田月輪町)は28日、大動脈弁狭窄(きょうさく)症の女性患者(87)に対し、県内では初めてとなる最新の治療法「経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)」を行い、成功したと発表した。(浅井弘美)

 今回の治療では、足の付け根の血管から、直径23ミリの人工弁を折り畳んで入れた太さ約5ミリのカテーテルを通し、大動脈弁の内側で広げて取り付けた。開胸せず、心臓も止めずに行われ、2時間ほどで終了。術後の入院期間も7〜10日ほどで済むため、外科手術に比べて体への負担が軽減されるという。

 病院によると、手術を受けたのは草津市在住の女性で、2015年9月に呼吸困難となり、同市内の病院に入院。大動脈弁狭窄症による心不全と診断され、薬物治療などが行われたが、寝たきりになり、16年1月に医科大病院へ転院した。

 病院では、循環器内科や心臓血管外科などの医師らでつくる「ハートチーム」が、女性が高齢で衰弱も激しかったためTAVIを選択。3月14日に施術し、女性は術後約1時間で会話できるようになり、翌日から歩行や食事も可能になった。現在は体力回復のためのリハビリ中で、退院できる状態にあるという。

画像ウシの心膜をもとに作られた人工弁=エドワーズライフサイエンス提供

 28日会見した、執刀医で循環器内科の山本孝講師(45)は「滋賀で初めての手術だったので、一つひとつ確認しながら慎重に行った」と説明。心臓血管外科の浅井徹教授(54)は「三重や福井などから訪れる高齢の患者も多い。安心して受けられる治療として、選択肢が広がるのでは」と話した。

 TAVIは、欧州などで02年ごろから進んでおり、日本では13年10月から保険適用になった。これまで国内で2千件以上の施術例がある。心臓・血管に対するカテーテル治療数など基準をクリアした施設のみ治療ができ、県内では同病院のみ。今後、年間約30件の施術を想定している。

 大動脈弁狭窄症 心臓弁膜症の1つで、心臓の大動脈の出口にある弁が硬くなって開きにくくなり、十分な量の血液が心臓から送り出されなくなる病気。薬物治療では進行を抑えることができず、重症化すると呼吸困難や心不全などの症状が現れ、突然死に至る場合もある。重症者には開胸手術を行うのが一般的だが、高齢で体力のない患者には、外科手術は難しいとされている。

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