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つぼトントン不安解消

(2016年6月7日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

被災地・熊本でも講習会

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 顔や手などの「つぼ」を人さし指と中指でトントンたたき、不安や不快感などのストレス解消を目指す心理療法「TFT(思考場療法)」の実践が広がっている。家庭でも自分で手軽にでき、熊本地震の被災地では、避難生活を送る人や地震に恐怖感を感じる人らにやり方を伝えるための講習会が開かれた。 (編集委員・安藤明夫)

 熊本市内で5月20日に開かれた「被災した職員へのメンタルケアセミナー」。地元企業の産業医、福利厚生担当者ら約300人が、一般社団法人日本TFT協会(東京都中央区)の森川綾女理事長の指導で、被災者に役立つTFTの技法を学んだ。左手にあるつぼを軽くたたきながら、「職場でもすぐ使えるね」と話す参加者もいた。

 森川理事長は「災害や人間関係のストレスなどで、マイナス感情がわき起こるときに、そのままにしていると、不快な気分を繰り返すことになる。嫌な体験を思い出しながらTFTを行うことで、過剰な警戒感や不安を軽くできます」と指摘した。

 東洋医学では鍼(はり)でつぼを刺激するが、その代わりに2本の指で軽くたたくのがTFTだ。

 特徴は手軽さ。ストレスを感じたときに、自分で1、2分でできる。「手順が簡単で即効性があり、副作用もなく、子どもにも使える」と森川理事長。ただ、嫌な体験を思い出すことが強い動揺につながってしまうときは、セルフケアではなく、医療者に相談することを勧める。

 不安を感じるときの手順=図表参照=は、眉頭や目の下など顔の部分のつぼを中心に刺激する。体の左右にあるつぼのうちどちらか一方を刺激すればいいという。他に「自分を責めてしまうとき」「怒り、イライラするとき」「体が痛い、凝っていると感じるとき」などのやり方がある。

画像つぼを軽くたたく手順を学ぶ参加者たち=熊本市で

 それぞれ、刺激する部位や回数が異なるが、表1の「圧痛領域をさする」と表3の「ガミュートを5回ずつトントンしながら眼球を動かす」の手順は共通だ。

 和歌山県岩出市の紀平省悟・和歌山つくし医療・福祉センター小児科部長は、深刻なトラウマ(心的外傷)をかかえた子の治療や、子育てに苦しむ障害児の親に教えている。「私の診療では欠かせません。西洋医学の観点から有効性を立証するのは難しいが、患者さんのセルフケアに役立っている実感があります」と話す。薬物によるトラウマ治療に限界を感じる医療者の中にも関心を持つ人も多い。

 TFT ソート・フィールド・セラピーの略。1970年代に米国で生まれた心理療法。日本TFT協会がセミナーやセラピスト養成講座を開催している。協会ウェブサイトで、つぼをトントンする手順などを、図や動画で解説している。
日本TFT協会

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