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介護サービス縮小検討

(2016年7月21日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

厚労省 高齢者医療費負担増も

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 厚生労働省は高齢者の介護サービスの縮小や医療費の負担を増やす検討を本格化させた。介護は2018年度、医療は17年度以降の実施を目指す。これらの見直しは膨らむ社会保障費用を抑えるため。制度を支える財源となる消費税増税が再延期された一方、サービスを絞り込む議論が先に進む。

 介護サービスのカットは20日、厚労省の審議会部会で議論された。訪問介護のうち軽度の要介護1、2の人向けの掃除や調理、買い物などの「生活援助」を縮小する。車いすなどの福祉用具のレンタル料や高齢者向けの住宅改修費の援助の縮小や自己負担を求めるかどうかも検討する。来年の通常国会へ関連法案を提出する方針だ。

 15年度から、要介護者より軽い要支援の人向けの訪問介護などのサービスが介護保険の対象から外され市区町村の事業に段階的に移されている。次は全国に約200万人いる要介護1、2の人のサービス縮小が焦点となった。

 部会では、サービス縮小について「高齢化でやむを得ない」とする意見があった一方、「後々、状態の重度化や命に関わることになる」との懸念も出た。

 厚労省は医療費の削減も高齢者に照準を定める。医療分野の審議会部会は14日、「高額療養費制度」の高齢者優遇措置の見直しと75歳以上の窓口負担増の検討を始めた。

 高額療養費制度は月々の自己負担額に上限を設け、それを超えた費用は医療保険から一部を払い戻す。現役世代より上限額が低く設定されている70歳以上の上限引き上げを検討する。年内に結論を出し、17年度以降に実施する。

 75歳以上の窓口負担に関しても、1割から2割への引き上げを18年度までかけて検討する。

 介護・医療費の抑制は12年に自民、公明、旧民主の3党が合意した「社会保障と税の一体改革」で、消費税増税の財源を使った制度の充実とセットで検討すると定められた。増税は先送りされたが、政府は「骨太の方針」などにさまざまな給付減や負担増を目標として盛り込み、検討を進めている。

1億総活躍に逆行

 日本ケアマネジメント学会の服部万里子副理事長の話 要介護1、2の人には認知症の人も多く、身体的な介護の必要性は低い一方で、訪問介護の「生活援助」サービスへのニーズは大きい。サービスを利用する際の負担が重くなれば、低年金の高齢者は利用を控えることになり、生活の質が下がって症状の悪化にもつながる。結局、家族に負担がのしかかり、虐待の増加も懸念されるほか、介護を理由とする離職も迫られる。政府が掲げる「一億総活躍」に逆行している。介護保険料は40歳から支払うのに、いざ必要な時に使えないのであれば公的保険制度への信頼が低下する。

縮減ありきの議論

 淑徳大の鏡諭教授(公共政策学)の話 要介護1、2の「生活援助」サービスの見直し議論は、財政の厳しさが発端となっており、利用者の生活が置き去りになっている。介護保険制度は給付を受けるための保険料を納めるという信頼関係、社会的な連帯の下で2000年度に始まったが、短い期間での見直しが相次いで利用者も事業者も振り回されている。縮減ありきの議論はおかしい。生活の安心のために必要なサービス水準と、その負担の在り方をセットにした国民的な議論が必要だ。

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