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次世代担う麻酔医育成 名古屋市東部医療センター 伊藤 彰師さん

医人伝

(2016年8月23日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

名古屋市東部医療センター(同市千種区) 集中治療センター長 伊藤 彰師さん(54)

画像集中治療センターで後期研修医を指導する伊藤彰師さん

 広いフロアに、人工呼吸など重症度の高い患者のベッドが16床。脈拍、血圧、意識レベルなどを観察する機器が、見やすく配置されている。名古屋市東部医療センターに昨年3月に開設された集中治療センターは、大病院の多い市内でも有数の設備だ。ベテランの麻酔科医として、その責任者を務める。

 仕事は幅広い。朝はカンファレンス(症例検討会)。医師のほか看護師、薬剤師、臨床工学技士ら多職種で話し合い、患者の状況に応じた治療方針を決める。

 麻酔科医として手術に臨むことも多い。「患者さんの状態の変化を素早く判断し、次の手を打つのが醍醐味(だいごみ)」という。

 がんの痛みの管理などのペインクリニックも担う。時に人生相談になったりもする。「患者さんと話すのが好きなんです」とほほ笑む。

 夜は救急などへの対応。当直と緊急呼び出しを合わせると「3日に一度は、ここにいますね」。

 小学生のときに、父をがんで亡くし「重い病気の人の命を救いたい」と、医師を志した。名古屋市立大医学部に入り、専門分化が進む医学の流れを眺める中で「何でもできる医師になりたい」と考えるようになった。

 まだ、総合診療医、家庭医といった言葉がなかった時代。患者の全身状態を見る目が求められる麻酔科に魅力を感じた。「呼吸状態や心拍などをどう判断するか、それに応じて薬をどう使うか。生理学、薬理学などいろんな分野の判断が必要になるんです」

 麻酔科は忙しいイメージもあり、医学生が敬遠しがち。医師不足が深刻な社会問題になった時期もある。状況はいくぶん好転してきたものの、集中治療センターが開設された昨年は、麻酔科の常勤医がわずか3人の時もあり、多忙を極めた。それが今は、後期研修医と短時間勤務の女性医師を含め9人に増強できた。中でも初期研修で指導した3人が、専門医へのスタートラインである後期研修で、ここを選んでくれたことがうれしい。

 近くにある名古屋市立大病院(同市瑞穂区)と合同で麻酔科の研修プログラムを立て「多様な症例を経験できる」とアピールしてきた。

 「何でもできる医師になろうという思いを、次世代にも植え付けていきたい」と意気込む。 (編集委員・安藤明夫)

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