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事業所向け健診に尽力 中道歯科医院 中道 勇さん

医人伝

(2016年8月30日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

中道歯科医院(富山市) 院長 中道勇さん(64) 

画像事業所での歯科健診普及に努めてきた中道勇さん

 「歯科健診は労働者の健康づくりにつながる」。富山県内の事業所向け歯科健診の普及を目指し、県歯科医師会による産業歯科保健活動の中心的な役割を担ってきた。「数値に基づき物を言う」が信念で、独自にデータを蓄積。歯と体の健康の関係を明らかにしてきた。

 東京医科歯科大卒業後、出身の富山市で開業。当時、歯科健診の必要性は一般の人にあまり理解されておらず、実施するのは一部の小規模事業所にとどまっていた。県内では、1982年に、日本歯科医師会による産業歯科医研修会が開かれたのをきっかけに、県歯科医師会員たちの健診への関心が高まった。その機運を捉え、先進的な長野県の取り組みを視察し、事業所向けのパンフレットや小冊子を作った。

 88年には大規模事業所から2千人を超える健診依頼が入るように。健診費への国の補助もあって、県内の受診者数は伸び続け、96年にはピークの約1万6千人に達した。冊子作りなどの努力が実を結んだ格好だが「県内の歯科医師の方々が協力的だったから」と笑う。

 受診者が増えた後も「健診のやりっ放しは良くない。データは統計処理して積み重ねることが大事」と分析を試みた。自身の診療を終えてから毎晩、3〜4時間机に向かった。

 「歯が良ければ医療費が少なくなる」という仮説を立て、市内の事業所の協力を得て、50代男性約40人の入社時から約30年分の医療費と歯の健康との関係も分析。健全な歯が10本以下の人は、健全な歯が27本以上ある人より医療費が約2倍かかることを数値で示した。継続的な健診による医療費の抑制のほか、歯磨きを習慣にすると虫歯が減るなどの効果を数値で示し、98年に専門誌に論文を発表した。

 事業所での歯科健診は、歯の不健康が労働に与える影響が明確でないとして、労働安全衛生法では義務付けられていない。「法律に入れるのが歯科医師会の悲願」だ。

 歯の健康に対する国民の意識は高まっているものの、まだ不十分だと感じる。社会保障費の抑制などを理由に国からの補助金もなくなり、受診者は減り続けている。

 「健康のために生活習慣を変えるなら、歯磨きは一番分かりやすい。やれば確実に効果が出る」と訴える。(山中正義)

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